カンデンスキーと青騎士展
この展覧会、カンデンスキーの法律家から、芸術家として再出発の地ミュンヘンに渡ってから、青騎士グループの結成迄の、変遷を概観しています。当時の既成絵画に飽き足らず、あらゆる実験を試みて、急速に変化していく画法は、見ていて心躍る感があります。
そして、色面を大胆に貼り付けた様な作品になってくると、もう魅了されてしまいます。
色面の乱舞という感じで見ましたが、チラシの表紙に使われている《印象川(コンサート)》などは、心躍る心象風景がビシビシ伝わってきます。完全な抽象でない点、私には理解す易い印象を持ちました。「色彩で精神的な世界を描く」その意図が十分伝わってくる展覧会です。行動を共にしたガブリエル・ミュンター、フランツ・マルクアウグスト・マッケ等の作品にもにも注目です、フォービズム等の、当時の潮流の影響を確認しながら鑑賞するのも一興かと....
三菱一号館美術館で、2月6日迄開催。
以下の画像は、チラシからの引用です。
ヴァシリー・カンデンスキー《花嫁》
ヴァシリー・カンデンスキー《ガブリエーレ・ミュンター》
ヴァシリー・カンデンスキー《コンポジションⅦのための習作2》
フランツ・マルク《牛、黄-赤-緑-》
ヴァシリー・カンデンスキー《ムルナウ近郊の鉄道》
アウグスト・マッケ《遊歩道》
ヴァシリー・カンデンスキー《印象川(コンサート)》
以下に展覧会の構成を、本展の資料をも元にごく簡単にご紹介します。
序章
19世紀末ミュンヘンのアートシーンの重鎮として君臨していた、レンバッハ等の作品が紹介されています。
第1章 ファーランクスの時代 旅の時代
ヴァシリー・カンディンスキーは、モスクワで法律家をしていて、芸術家に転身しミュンヘンに行きます。
そしてミュンヘン美術アカデミーに入学し、シュトゥックに師事して絵を学んでいたカンディンスキーは、仲間と「ファーランクス」を立ち上げ、美術学校も設立し、そこの生徒であったミュンターと親密な関係になります。カンデンスキーは妻への罪の意識に耐えられなくなり、ミュンターとともに不安定な旅の生活を送るようになります。
第2章 ムルナウの発見 芸術的総合に向かって
旅の生活を切り上げて、カンディンスキーとミュンターは、ミュンヘンに戻ります。そして、近郊の古い町ムルナウに活動の拠点を置きます。旧知の画家仲間アレクセイ・ヤウレンスキーとマリアンネ・フォン・ヴェレフキンのカップルも、意気投合、合流します。青騎士グループ幕開の時代です。
第3章 抽象絵画の誕生 青騎士展開催へ
「ミュンヘン新芸術家協会」の展覧会でカンディンスキーの作品《コンポジションⅤ》が拒絶されたことを機に、協会を脱退して、カンディンスキーとマルクが中心となって『青騎士』年鑑として結実し、グループの理念が具体化します。しかし、時代は第一次世界大戦にと移り離散を余儀なくされます。
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