ヒドリノトキハナミダヲナガシ
文春のまわしものではありません。
3月号に五木寛之、山折哲雄の対談が載っています。
「不況と親鸞」という題です。
そこから下記に引用します。
山折 そういえば、「雨ニモマケズ」に「ヒデリノトキハナミダヲナガシ}とあるでしょう。あれ、賢治の手帳には「ヒドリ」と書かれているんです。「サムサノナツハオロオロトアルキ」の対句的表現だろうと、研究者が「日照り」に直してしまったんですよ。五木 ほう。私はずっと「日照り」、干ばつの夏だと思っていました。
山折 でも、花巻あたりでは日が照れば不作なしで、農民たちは喜ぶはずです。むしろ、夏に気温が上がらないことのほうが恐ろしい。実は、ヒドリというのは方言で「日取り」、日雇い仕事のことなんです。「雨ニモマケズ」が書かれた昭和六年頃、不作のために土木の仕事をやったり、他県に出稼ぎにい行く農民が大量に発生していました。そういう人々はいわば人別帳の世界を離れて、一種のアウトロー、戸籍のない境遇になってしまいます。今、派遣切りなど非正規雇用の人々の生活の問題がクローズアップされていますが、状況はまさしく重なるのです。
昨年平塚美術館で、賢治の手帳を見てきたのですが、全く気にも留めませんでした。
矢張り、学者、作家の視点は違うのですね。
このような記事に接すると、とても得した気分になります。
会社帰りの電車の中で読みました。
太字部分は、私が行いました。
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