ランドスケープ 柴田敏雄展
柴田敏雄の作品製作過程を顧みる展覧会。
一見の価値ありです。
東京写真美術館で2月8日まで開催されています。
セザンヌに憧れて芸大に入学した氏ですが、あの学生運動の時代にウォーホール等々新しい芸術運動に興味を持っそうです。
卒業後就職しますが、故あってベルギーの王立アカデミーに留学します。
そこで先生に勧められて写真学科に入学、ヨーロッパ各地を撮影して回ります。
日本に戻ってからは、夜の写真を撮り始めます 。
モノクロームの写真を撮り続けます。
その後、ダムやコンクリートに覆われた造成地など人工的に変容された風景を捉えた作品を発表します。
氏の作品のイメージは、このシリーズですよね。
カラーで撮り始めたのは、5年前からだそうです。
モノクロームで表現してきて、時に排除してきたモチーフを見直したくなったのが一つの理由のようです。
大判カメラ(8×10)で撮影された作品のリアリティーには目を見張るものがあります。
大型印画紙を使用しているのも、理由の一つですね。(ちなみに、インクジェットでの作品はありません)
滝の、水の流れる線、圧倒的な美しさです。
全ての被写体に、ピントがきちっと合っています。
ソフトフォーカス(ぼかし)は一切使っていません。
いかにも、レンズを通したという感じを嫌ったようです。
そして、空を写しこんだ作品は一点もありません。
スケール感を持たせるため......
氏の作品は、度々拝見してきましたが、纏めてこれだけの作品を見たのは初めてです。
杉本博司の仕事で、写真作品のある意味での頂点を見てしまった気になっていたのですが、柴田敏夫のこれからの仕事も見逃せませんね。
画像は、何れもチラシから引用させていただきました。
| 固定リンク
コメント
lysanderさん、コメントを頂きありがとうございます。
こちらこそ、ご無沙汰しております。
断片的に、作品を何度か拝見して、とても気になっていた作家ですよね。
回顧的に纏めて観ると、柴田敏夫の思想が明確に見えてきます。
とても素晴らしい展覧会でしたよね。
投稿: lysanderさんへ | 2009.01.12 08:26
makoさん
こんばんは
ごぶさたしています。
柴田さんの写真は圧巻ですよね!
ここ数年、とても気になっていたのですが、
今回、まとめて観られてとても幸せでした...
投稿: lysander | 2009.01.11 23:45
Takさん、コメント、TBを頂き有難うございます。
被写体が、有機的に何かを話しかけてきますよね。
とても刺激的な展覧会でした。
投稿: Takさんへ | 2009.01.11 18:51
こんにちは。
自然の中にある人の手。
奇妙な美しさを感じさせるのは
柴田氏の手腕によるところが多きそうですね。
投稿: Tak | 2009.01.11 15:38
elmaさん、コメントを頂きありがとうございます。
大判印画ならではの迫力ですよね。
最近8×10で撮影された作品を観る機会が度々あります。
この鮮明さは、素晴らしいと思います。
それだけに、モチーフをどう処理するかは、難しいでしょうね。
まさに、プロの仕事の領域ですね。
投稿: elmaさんへ | 2009.01.05 05:12
こんばんは、makoさん!
人工的なものでも、美しいということを知らせていただいた作品群ですね。
夜の風景(高速道路の料金所でしょうか)・・・叙情がありますね。誰もいない風景がやけに気になります・・・。それでも「夜」がとても美しいと思いましたね。
「ダム」の周辺で醸し出される水辺の風景・・・その魅力がなぜなのか、よくわかりませんが、人の心にアピールする造形ですね。曲線のなせる技でしょうか。それとも非対称の美しさ・・・。とにもかくにも美しかった・・・ですね。
投稿: elma | 2009.01.03 19:10