映画 カメラになった男
所要で、休暇をとった月曜日、帰りに東京写真美術館に行って来ました。
偶然、出会ったのがこの映画です。
写美での上映はこの日のみです。
「カメラになった男―写真家 中平卓馬」
(2003年~/カラー/91分/DV)
監督・製作・編集・撮影・録音・字幕:小原真史/編集協力:小宮山良太、長谷川善威
小原真史監督は文学部を卒業したのですが、就職先が決まらず、大学院に進学し、修士論文を作成することになる。そのときテーマに選んだのが、中平卓馬だったとのことです。
彼を理解するための一助として、ムービカメラを手にしたようです。
それがこのドキュメンタリー映画の始まりです。
中平卓馬は大学卒業後、雑誌「現代の眼」の編集部に就職します、そして、東松照明と出会い、ペンタブラックをもらいます、詩人になるか、写真家になるか悩んだ挙句、写真家になることを選びます。
以下、『 』部はWikipediaから引用。
『写真家として1960後半から70年代にかけて活躍したが、1977年アルコールによる昏睡状態に陥り、言語、記憶の一部を失う。その後、再び写真を撮り始める。
中平は饒舌な写真家だった。写真を撮りつつ、そのバックボーンとなる思想をこれほど語り尽くした作家はいないだろう。その中で「写真を撮ることで自己の解体・再生を目指す」という理論にたどり着くが、その言葉は自分の作家活動を縛り上げ、次第にスランプに陥っていく。1977年のアクシデントにより、記憶と言葉を失うことで自縄自縛状態を脱し、より一層写真の本質を問うような作品を撮り続けている』
そんな中平卓馬が、かつての記憶と言葉を取り戻すために、思い出深い沖縄を訪れる。
思い出の地とは....写真家として、沖縄で起きた、ある事件の裁判にかかわったり、パレスチナ問題にも取り組んだその場所だ。
カメラは、生活拠点の横浜で、訪れた沖縄での中平卓馬を追い続ける。
余分なものをそぎ落とした、写真への思いと、彼の姿は何か魅力にあふれている。
沖縄で開催された、東松照明の展覧会での座談会のシーンは、とても印象に残った。
マイクを握り、会のタイトルに意義を唱え続ける、中平、黙りこくる大山大道、東松照明、宥め、茶化す荒木経惟。
若い監督の素直な感性が感じられる良いドキュメンタリー映画です。
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