線の迷宮(ラビリンス)Ⅱ--鉛筆と黒鉛の旋律
三連休の最終日に行ってきました。
私に新たな視点を与えてくれた展覧会でした。
目黒美術館で9月9日まで開催されています。
鉛筆で、またシャープペンシルで、これだけ説得力のある表現が出来るとは.......。
出展作家は以下の方々です。
磯邉一郎、小川信治、小川百合、木下 晋、齋鹿逸郎、佐伯洋江
篠田教夫、関根直子、妻木良三
皆さんすばらしい作品を出展されているのですが、私の注目は以下の4氏の作品です。
小川信治氏のコンセプトが面白い
Without You
キリストのいない最後の晩餐、キリストのみの最後の晩餐、ユダのいない最後の晩餐
発想が何とも良い 。
Perfect World
《パリの恋人》,1999
風景の中の象徴的な建物をその横にもう一つ描きこむと言う試み。
発想がユニークで楽しいのですが、その描画の細密さ描写力には圧倒させられます。
木下晋氏の作品の重み
《無‐III》,1992
氏のコメントから要約させていただきます。
出品作のモデルは、瞽女人生を105歳の天寿を全っとうした小林ハルさん。
日本に写真のモダニズムを築いた中村岩太の夫人・中山正子さん。
絵本「ハルばあちゃん」のモデルとなった川端きんさん。
ハンセンシ病の詩人・桜井哲男さんです。
この人々とは偶然の出会いだが、私の人生にとって重要なターニングポイントを飾る必然の存在と言える。
好奇心の趣くまま対峙した時、老いの尊厳さが神々しいまでに美しかった。
小川百合氏の質感
《Rhodes House Library, Oxford》 ,2002
氏は、黒い色鉛筆と水彩紙の組み合わせで、独特の階調を作り出しています。
私は、杉本博司の作品を思い浮かべました。
他の出展作家と一味違う趣です。
由緒ある図書館、建築に取材しています。
その表現力は見事です。
篠田教夫氏その技巧
《海辺の断崖》,2000‐02
鉛筆と、水彩で作り出した表現は、カラーメゾチンント作品を思わせます。
全作品の中で、一点のみです。印象に残りました。
貝殻を、細密に描ききった作品には、見入ってしまいます。
とにかく、よくここまで描きこんだものだと、関心させられました。
画像は、目黒美術館のHPから引用させていただきました。
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コメント
elmaさん、コメントを頂きありがとうございます。
貴blogの投稿記事拝見しました。
本当に、集中と忍耐、才能、全てそろわないと、あの作品には仕上がりませんよね。
その意味でも勉強になりました。
彼らの今後の作品にも注目しましょうね。
情報が入ったら教えてください。
投稿: elmaさんへ | 2007.08.13 07:14
おはようございます、makoさん!
私も行ってきましたよ。(8/11の土曜日)
「線の迷宮」--良かったです。なかなか時間が取れなかったのですが。
鉛筆で表現できる可能性が、こんなにすばらしいなんて・・・。
メゾチントのような作品もありましたね。小川百合氏の作品が最も印象的でした。
ありがとうございます。良い作品に出会えました。
投稿: elma(自分磨き) | 2007.08.13 05:03
はろるどさん、コメントを頂きありがとうございます。
貴blogに「この夏、私の一推しの展覧会です。」と記されているとおり。
見入ってしまう展覧会ですよね。
私に新たな視点を与えてくれた展覧会です。
小川信治の仕事は、これからも注目です。
投稿: はろるどさんへ | 2007.08.09 05:50
こんばんは。仰る通り、鉛筆でここまで出来るとはと感嘆させられるような展覧会でした。
コンセプト、そして鉛筆という素材の奥深さを見たような気がします。
個人的には、好きな小川信治の作品をまとめて見られただけでも大満足でした。
投稿: はろるど | 2007.08.07 22:50
うしろの正面さん、コメントを頂きありがとうございます。
>このふたつをハシゴしたら、私の眼は色を拒否するかもー。
うしろの正面さんの写真は、落ち着いた良い色調で好きですよ。
色を拒否などしないでくださいね。
モノトーンも難しいですよね。
はしごするって.....。
まさか....目黒から竹橋まで歩かないでしょうね。
私は、この日曜日、虎ノ門、神谷町、六本木と歩きました。
何故って?
私、実は地理音痴です。
何十回通った道でも、しばらく行かないと、間違えるのです。
そんな自分に、腹が立つは、暑くて腹が立つはで、もう大変でした。
是非、夏休みにでも、ゆっくり会場のいすに腰掛けて、作品と対面してください。行って後悔はしないと思いますよ。
投稿: うしろの正面さんへ | 2007.07.27 08:51
>鉛筆で、またシャープペンシルで、これだけ説得力のある表現が出来るとは.......。
ほんとうに。
色をつけることで誤魔化せない分、より真に迫った表現を探る・・・、というより色がついていないことで、より描く側と見る側の感性が研ぎ澄まされる、という感じでしょうか。
これこそ、自分の眼で見るべき展覧会ですね。
アンリ・カルティエ・ブレッソンもまだ行ってないんですけど・・。
このふたつをハシゴしたら、私の眼は色を拒否するかもー。
投稿: うしろの正面 | 2007.07.26 13:04