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2007.07.19

線の迷宮(ラビリンス)Ⅱ--鉛筆と黒鉛の旋律

Megrosen


三連休の最終日に行ってきました。
私に新たな視点を与えてくれた展覧会でした。
目黒美術館で9月9日まで開催されています。

鉛筆で、またシャープペンシルで、これだけ説得力のある表現が出来るとは.......。

出展作家は以下の方々です。
磯邉一郎、小川信治、小川百合、木下 晋、齋鹿逸郎、佐伯洋江
篠田教夫、関根直子、妻木良三

皆さんすばらしい作品を出展されているのですが、私の注目は以下の4氏の作品です。

小川信治氏のコンセプトが面白い
Without You
キリストのいない最後の晩餐、キリストのみの最後の晩餐、ユダのいない最後の晩餐
発想が何とも良い 。

Perfect World
Ogawa
《パリの恋人》,1999
風景の中の象徴的な建物をその横にもう一つ描きこむと言う試み。
発想がユニークで楽しいのですが、その描画の細密さ描写力には圧倒させられます。

木下晋氏の作品の重み
Kinosita
《無‐III》,1992
氏のコメントから要約させていただきます。

出品作のモデルは、瞽女人生を105歳の天寿を全っとうした小林ハルさん。
日本に写真のモダニズムを築いた中村岩太の夫人・中山正子さん。
絵本「ハルばあちゃん」のモデルとなった川端きんさん。
ハンセンシ病の詩人・桜井哲男さんです。
この人々とは偶然の出会いだが、私の人生にとって重要なターニングポイントを飾る必然の存在と言える。
好奇心の趣くまま対峙した時、老いの尊厳さが神々しいまでに美しかった。

小川百合氏の質感
Ogawa_1 
《Rhodes House Library, Oxford》 ,2002
氏は、黒い色鉛筆と水彩紙の組み合わせで、独特の階調を作り出しています。
私は、杉本博司の作品を思い浮かべました。
他の出展作家と一味違う趣です。
由緒ある図書館、建築に取材しています。
その表現力は見事です。


篠田教夫氏その技巧

Sinoda
《海辺の断崖》,2000‐02
鉛筆と、水彩で作り出した表現は、カラーメゾチンント作品を思わせます。
全作品の中で、一点のみです。印象に残りました。
貝殻を、細密に描ききった作品には、見入ってしまいます。
とにかく、よくここまで描きこんだものだと、関心させられました。

画像は、目黒美術館のHPから引用させていただきました。


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コメント

elmaさん、コメントを頂きありがとうございます。

貴blogの投稿記事拝見しました。
本当に、集中と忍耐、才能、全てそろわないと、あの作品には仕上がりませんよね。

その意味でも勉強になりました。

彼らの今後の作品にも注目しましょうね。
情報が入ったら教えてください。

投稿: elmaさんへ | 2007.08.13 07:14

おはようございます、makoさん!

私も行ってきましたよ。(8/11の土曜日)
「線の迷宮」--良かったです。なかなか時間が取れなかったのですが。
鉛筆で表現できる可能性が、こんなにすばらしいなんて・・・。
メゾチントのような作品もありましたね。小川百合氏の作品が最も印象的でした。
ありがとうございます。良い作品に出会えました。

投稿: elma(自分磨き) | 2007.08.13 05:03

はろるどさん、コメントを頂きありがとうございます。

貴blogに「この夏、私の一推しの展覧会です。」と記されているとおり。

見入ってしまう展覧会ですよね。
私に新たな視点を与えてくれた展覧会です。
小川信治の仕事は、これからも注目です。

投稿: はろるどさんへ | 2007.08.09 05:50

こんばんは。仰る通り、鉛筆でここまで出来るとはと感嘆させられるような展覧会でした。
コンセプト、そして鉛筆という素材の奥深さを見たような気がします。

個人的には、好きな小川信治の作品をまとめて見られただけでも大満足でした。

投稿: はろるど | 2007.08.07 22:50


うしろの正面さん、コメントを頂きありがとうございます。

>このふたつをハシゴしたら、私の眼は色を拒否するかもー。

うしろの正面さんの写真は、落ち着いた良い色調で好きですよ。
色を拒否などしないでくださいね。

モノトーンも難しいですよね。

はしごするって.....。
まさか....目黒から竹橋まで歩かないでしょうね。

私は、この日曜日、虎ノ門、神谷町、六本木と歩きました。
何故って?
私、実は地理音痴です。
何十回通った道でも、しばらく行かないと、間違えるのです。
そんな自分に、腹が立つは、暑くて腹が立つはで、もう大変でした。

是非、夏休みにでも、ゆっくり会場のいすに腰掛けて、作品と対面してください。行って後悔はしないと思いますよ。


投稿: うしろの正面さんへ | 2007.07.27 08:51

>鉛筆で、またシャープペンシルで、これだけ説得力のある表現が出来るとは.......。
ほんとうに。
色をつけることで誤魔化せない分、より真に迫った表現を探る・・・、というより色がついていないことで、より描く側と見る側の感性が研ぎ澄まされる、という感じでしょうか。
これこそ、自分の眼で見るべき展覧会ですね。

アンリ・カルティエ・ブレッソンもまだ行ってないんですけど・・。
このふたつをハシゴしたら、私の眼は色を拒否するかもー。

投稿: うしろの正面 | 2007.07.26 13:04

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目黒区美術館(目黒区目黒2-4-36) 「線の迷宮2 - 鉛筆と黒鉛の旋律 - 」 7/7-9/9 この夏、私の一推しの展覧会です。鉛筆やシャーペン、それに消しゴムなどを素材に、精巧かつ濃密な絵画を手がける9名の作家が紹介されています。 出品作家 磯邉一郎、小川信治、小川百合、木下晋、齋鹿逸郎、佐伯洋江、篠田教夫、関根直子、妻木良三 これほど一点一点に時間をかけて見たのは久しぶりです。もちろんそれぞれの作風はかなり異なっていますが、シンプル極まりない鉛筆という素材が作家の手を介すと、どれも... [続きを読む]

受信: 2007.08.07 22:50

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