稲越功一写真展―百一人の肖像―
肖像写真にも、当然、写真家の個性があります。
稲垣功一氏の写真は、背景をうまく設定し、人物の個性をさらに際立ています。
ライトの当て方とともに、感心させられます。
著名なスポーツマン、役者、小説家、等々さまざまな職業の方101人の肖像写真が、解説とともに楽しめます。
銀座和光ホールで5月2日まで開催されています。
有楽町、銀座方面にお出かけの際には是非、寄ってみてください。
以下は、和光ホールのHPをコピーさせていただきました。
肖像写真とは、被写体となった人物が歩んできた人生のほんの一瞬を
とらえたものに過ぎない。しかし、写真家・稲越功一氏の撮る肖像写真の
作品には、その人が積み重ねてきたあたかも年輪のような人生を感じ
取ることができる。撮られる側が一流の人物であれば、なおさらのこと
である。
和光ホールで4回目を迎える今回の写真展では、稲越氏の視点で
選ばれた、各界で活躍されている著名人101人の肖像が一堂に会する。
歌舞伎役者、画家、作家、建築家、俳優、評論家、音楽家、料理人、
デザイナー、映画監督、歌人など、実に多彩な顔ぶれが揃い、その誰もが
業界において名を馳せ、第一線に立つ方々ばかりだ。とはいうものの、
中には職業柄マスコミには登場せず、素顔をあまり知られていない方も
いる。それゆえ、それとなく職業が感じられるように背景やモチーフを考慮
し、ポーズや空間づくりを心がけたという。
「人には職業の顔というものがあるんですよ。それに年齢が加わると、
人としての深みというか凄みが出てくる。街が人をつくるように、職業が人を
つくるわけだね」と稲越氏。文楽の人形遣いで人間国宝の吉田簑助氏を
撮影した作品には、齢を重ね、かつて病に倒れた人物とは思えない気迫と
集中力が漲っている。稲越氏の写真の中では、年齢は老いではなく人間的
な深みや味わいへと見事に昇華されていく。さらにそこには、無理のない
自然体の姿がある。
「撮る側が構えてしまうと自然体の写真は撮れないものです。撮られる側
の緊張を解きほぐすために、自分自身は黒子に徹する気持ちで毎回撮影
に臨んでいますよ」
まさに一生に一度の出会いを大切にするかのように、稲越氏の心の
こもった仕事が、表情や仕草に表れる内面性までも作品に浮かび上がら
せる。撮影された肖像写真は、1点ごとに生身の人間から醸し出される
ような個性や存在感を放つ。会場では101人の肖像が、ご来場者との新たな
出会いを心待ちにしていることだろう。
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