ダリ回顧展
この展覧会はお勧めと言うわけにはいきません。
とても、鑑賞などという展覧会場の環境ではないからです。
行くのであれば、一時間並んで入場し、休日、原宿表参道のショウウインドウに飾ってある絵画を見るという覚悟でお出かけください。
ある意味、ダリの絵画はわかりやすいのかもしれません。
時の社会現象を、あるいは、個人的趣向を、端的、扇情的に表現しているようです。
アインシュタインの相対性理論にヒントを得た作品、さらにあらゆる物質の本質、粒子の運動に着想した作品は、子供過ぎるほど単純に思えます。(もちろん良い意味で)
フロイト的発想、ガラとの生活、生誕の地、ダリの特異な性格が謎解きのキーワードです。
西洋絵画伝統的な三美神、ピエタに材を得た作品もあります。
くどいようですが、ゆっくり謎解きを楽しむ環境にはありません。残念ですが。
さて、もう一度行くか、止めにするか........。
そうそう、有名?な、実験映画「アンダルシアの犬」が会場で上映されています。
冒頭の、満月を横切る薄雲の場面に続く、眼球をナイフで切り裂く場面は衝撃的です。
以下は、チラシから切り取りました。
最後に、勅使河原純著 暴力と芸術、「美は残酷にあり、サルヴァドール・ダリ」から引用させていただきます。
彼が好んで口にしていたカルデロン・デ・パルカの詩
「この裏切り者の世界では、真実も嘘もなく、すべては運命を読み取る、水晶玉の色しだい」のとおり、ダリの言説は真実でもウソでもない。それは受け取る側の心理的動揺をねらって放たれた一種のかぶら矢に過ぎないのだろう。
そこにいかなる色をみつけるかは、けっきょくのところ読み手側の心の問題である。
さらにシュルレアリストのグループを正式に除名された後も、彼がまんまとその一員に成り済まして振舞ってきたことの不可解さについても、その真意を率直にただして見る価値はあるかもしれない。
恐らく画家は、目にまでとどくほどのカイゼル髭を指先でしごきながら、重々しい口調で「どうか勘違いしないで欲しい」とまえおきし、こんな風に答えてくるのではないだろうか。
「私はシュルレアリストではない。私はシュルレアリスムそのものなのだ」
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