杉本博司--時間の終わり--
今年初の展覧会です。寒空の下、渋谷、広尾(南麻布)、西麻布、霞坂を上って六本木ヒルズに到着です。
南麻布での墓参を兼ねて、懐かしい土地を歩いて行きました。1月9日までの開催です。
彼は、撮影に当たって自然光しか使わないようです。造形物の撮影には西向きの窓の部屋で、シェードを使って光加減の調整をしているとのことです。すべてに共通して感じられるのは静謐さです。
モノクロームと光の感性が神秘性、静謐さをみごとに醸し出しています。
以下、解説の一部を引用しながら
観念の形
芸術は芸術的野心のないものにも宿るのだ。
数理モデルを撮影した作品。
理系出身の私としては、数式と曲線の関係がほとんど理解できなかったのに忸怩たる思いで鑑賞しましたが。
数式が表す見事な曲線は理解できるつもりです。展示方法にも注目です。
ジオラマ
どんな虚像でも一度写真に撮ってしまえば実像になるのだ
「うまい」と思いました。それ以上でも、以下でもありません。
海景
原始人の見ていた風景を現代人も同様に見ることが可能か
このコーナー空間にいられただけでも、この展覧会に来た価値があると感じました。
ベンチがあればもっと良かったと思います。
もしかすると、ベンチを置くと動かない人がたくさんいるのではとの、美術館側の計算があったのではと思わせるほどいい空間です。
数十点のモノクロームの海景で埋め尽くされています。その中に能舞台があります。能公演が観たかった。
建築
無限大の倍という焦点距離に設定して撮影した。
そんな設定のカメラがあるのでしょうか?
私は、ほぼ素通りでした。
肖像写真
ヘンリー八世の蝋人形を撮影した作品です。その多数点、説明文を読まないと、本物のポートレートと思ってしまう程のできばえです。見事。
影の色
漆喰の壁に写る光と影を、一定の角度で設定してデザインしています。
劇場
チラシに使われている写真です。
映画1本分の長時間露光による作品。
「映画一本を写真で撮ったとせよ」
中略
その晩現像した。そしてそのビジョンは赫奕として私の瞼の裏に昇った。
フェルメール「音楽のレッスン
フェルメールはカメラ・オブスクーラを用いたのではないかという話題があるようですが。
この作品は、その逆を行ったものですね。発想が面白いと思いました。
松林図屏風
これは、本物の長谷川等伯の松林図屏風を見に行きましょう。1月29日まで東京国立博物館で特別展示されています。素通りでよいと思います。
三十三間堂千手観音像
西方浄土という観念化された死後の世界をこの世の模型として再現してみるとどう見えるか.....
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コメント
はじめまして。ふらっと立ち寄ってみました。
わたしも杉本博司展、年末に人に勧められたからという理由で、全く興味ないのに観に行きました。
正直、ほとんどよくわからなくて素通りだったんですけど、『原始人のみていた海を現代人もみられるのか云々』の展示室だけは、なにか心地よいものを感じました。あれはよかったですね。
外国の方にはおそらくなんのこっちゃわからないと思われる、からっぽの能舞台がそのまんまになってるのも何故か美しかったです。
そんだけなんです。お邪魔しました。
投稿: 宇宙怪獣 | 2006.01.06 21:17