青木繁、福田蘭童・石橋エイタロウ
どのような関係か、 お分かりの方も多いと思いますが。
ヒント--福田蘭童の本名は石渡幸彦です。
画家の後裔
絵・青木繁 文・福田蘭童・石橋エイタロウ
という本の紹介です。
福田蘭童の文章から引用します。
かくして母の居所を知った僕は大津の町をさまよい、生まれて初めて見る母をさがし当てた。それは修学旅行の帰りであった。そして母から涙ながらに渡された紙包みを玉手箱の思いで、おそるおそるひらいて見た。
それは臍帯を包んだ紙で、
明治三十八年八月二十九日誕辰
於茨城県真壁郡伊讃村川島
青木氏
第一子 幸彦(さちひこ)
と墨鮮やかな玉手箱の煙ならぬ親父の書いた墨付きを見た。その日は僕の師から免許された蘭童をもらった日で、急に老人になって了った日でもあった。
引き続き石橋エイタロウの文章からの引用
「あんたの父親は、何時も上を向いて歩いているので、横柄な態度だと非難すると、伊達や酔狂で上を向いて歩いているんじゃない、正面から正視するよりも下から見上げたほうが、構図上、有効なんだ。まず正しい円を描いて遠方から眺めてごらん。丸くば見えずに横広がりに見えるだろう。丸く見せようとするならば、たて長に描かにゃならん。要するにあらゆる角度から物象をとらえねば、いいえかきにはなれんし女房にもなれんよ」
祖母・福田たねが、父に伝えた言葉である。
福田蘭童は尺八の名手、作曲家、釣り好きでも有名でした。
石橋エイタロウはご存知はな肇とクレージーキャッツのピアニストとして活躍されたあの方です。
この本(画家の後裔(講談社文庫昭和54年1刷))には青木繁の人となりとそれに連なる、福田蘭童、石橋エイタロウの運命的な人生が綴られています。
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コメント
喜雀さん、コメントを頂きありがとうございます。
作品と作家の人生が重なって見えてくると、いっそう感激しますね。
尺八の音色は、とても表現豊かですね。
宮城道夫の春の海を聴いていると、尺八の音に本当にほのぼのと暖かくなってきます。
蘭童も多才な方ですね。
母親の、福田たねは、青木繁の海の幸にも描かれていますし、肖像画もあります。
とても、寂しそうで訴えかけるような印象の絵画です。
機会があったらご覧になってください。
これからもよろしくお願いいたします。
投稿: 喜雀さんへ | 2007.09.17 19:10
初めて書かせて頂きます。ここのお陰である音楽の理解が深まったものですから・・・
福田蘭童の尺八曲12曲が収まったCDを先日買いました。大正ロマンを感じさせるような珍しい味わいの音楽だと感じていました。美少年、美少女を描いた昔の絵さへ連想させるものでした。
ところが、ここで、幸彦少年の修学旅行でのエピソードを知ってから曲の味わいが一変してしまったのです。
旋律の多くに母を恋うる気持ちが感じられるのです。泣けて泣けて仕方なくなりました。「麦笛の頃」という曲では、草笛を吹きながらたんぼ道を歩く親のいない少年の姿が目に浮かびました。
12曲全体、暗い旋律が次々現われますが、子守唄のような旋律もよく出てきます。少年の悲哀の深さが思われるのです。こんなに泣かされた
音楽は初めてでした。
詩的な曲名が多いので並べてみます。
春麗 深山ひぐらし 月光弄笛 夕暮幻想曲 月草の夢 蟲月夜
椿咲く村 旅人の唄 麦笛の頃 桔梗幻想曲 星夜曲 子守唄
最後の子守唄は尺八の二重奏になっているのですが、お母さんと一緒に歌うことを夢見ていたのかもしれません。
わたし、一応、ラジオで新諸国物語 笛吹き童子を夢中で聞いた世代です。福田蘭童さんご自身が音楽で憂いを忘れようとした笛吹き童子だったのだと思います。
投稿: 喜雀 | 2007.09.16 23:49
makoさん、不躾なコメントに、とても暖かいレスを
有難うございましたm(__)m 拙ブログは雑多な日々の記録で
お恥ずかしい限りですが、そう仰って頂けると嬉しいです。
青木繁の特別展は去年もしてたんですね!知りませんでした(^^ゞ
また福田たねの肖像画って青木繁が描かれたのでしょうか?
ちょっぴり観てみたい気がしました。そういえば今、敬老の日迄
東京芸大で卒業生の自画像展(入場無料)が開催されているそうで
青木繁のもあるようだし行こうか迷っております(^^ゞ
そうそう坂本繁二郎の展覧会は残念ながら観てないんです。
ブリヂストン美術館であったんですね。。。これも機会があれば
ぜひ観たいと思います。どうぞ、また色々お教え下さいませ。
投稿: さら | 2007.09.13 08:41
さらさん、コメントを頂きありがとうございます。
貴blogを拝見させて頂き、盛りだくさんの内容に感心致しました。
青木繁の絵画は、とてもいいですよね、昨年も特別展示していましたよね。今年も観にいこうかなと思っています。
福田たねの肖像画を渋谷の松涛美術館で見て、なんとも複雑な気持ちになったのを記憶しています。
坂本繁二郎の展覧会はご覧になりましたか、昨年?ブリジストン美術館で開催されましたよね。
仙崖展もよかったですよね、私は、良寛さんも大好きで、出雲崎に日帰りで、行って来たりします。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: さらさんへ | 2007.09.11 21:58
makoさま、はじめまして。こんにちは。
初めてコメントするのに古い日付の記事でスミマセン。
先日ブリヂストン美術館で青木繁の作品を観る機会があり
それで、この三人が血縁だと知りました。ご紹介の本も
一度是非読みたいと思いつつ今はもう発売されていないようで・・・
でも、こちらで一部を拝見できて有り難かったですm(__)m
それで自分のブログに、こちらのページをリンクさせて頂いたので
TB致しました。(ご不快でしたら取り消しますので、ご一報下さいませ)
また最新記事の仙厓展、私も行きましたので、興味深く
拝見させて頂きました。とても上手にまとめておられますね~!
これからも時々こちらのブログを拝見させて下さいね。
投稿: さら | 2007.09.10 13:47