写真はものの見方をどのように変えてきたか--3.再生---(東京都写真美術館)
土曜日に、松涛美術館に寄った後、観に行く予定にしていましたが、松涛美術館で長居をしてしまったので結局いけませんでした。そのため、翌日の日曜午後に出かけました。
「12人の写真家たちと戦争」という副題がついていますが、戦争に取材した写真はそう多くはありません。
木村伊兵衛(1901~1974)の「東京裁判」(よく見かける写真)と大束元((1912~1992)の「終戦の詔勅放送に泣く女子挺身隊」が印象に残りました。
展覧会は3部構成になっています。
1部 「自らの現実を求めて」報道と記録の行方。
木村伊兵衛---京都、那覇、満州、東京に取材した写真が展示されています。
濱谷浩(1915~1999)---シリーズ「雪国」「裏日本」
東京で育った濱谷浩さんは、雪国での経験が、とても大きかったようです。裏日本シリーズにつながりますが、人物を撮る仕事と自然を撮る仕事を交互に繰り返したようです。
林忠彦(1918~1990)---解説に「グラフ・ジャーナリズムの先駆、スター的存在」とありますが、矢張りこの展覧会の中では、一番気になった写真家です。よく見かける写真ですが、シリーズ「文士の時代」に収められた、太宰治、坂口安吾>。「カストリ時代」の浮浪児・上野」は秀逸。私の前のアベックが坂口の写真の前で、「この人小説家なの、何を書いた人」といっていましたが、もう、そういう時代ですね・・・・・・
大束元(1912~1992)---「終戦の詔勅放送に泣く女子挺身隊」チラシに使われている写真です。こういうワンショットがとても好きです。
熊谷元一(1909~ )---シリーズ「小学一年生」の子供の生き生きとした表情がとても良い。現代っ子もかくありたいと願いました。
2部、閉ざされた「自由」アマチュア写真家の生き方
小石清(1908から1957)---シリーズ「半世界」から、舞踏・インフレーションが印象的
河野徹(1907~1984)---シリーズ「流氓ユダヤ」からの作品がメインに展示されたいます。確か、近代美術館での特集でも観たような気がします。
植田正治(1913~2000)---演出写真といわれているようです。シリーズ「砂丘」はよく見かけますね。シリーズ「童暦」からの写真も展示されたいます。「砂丘」はペンタックスギャラリーで観た記憶があります。
桑田甲子雄(1913~ )---シリーズ「東京昭和11年」「満州」東京戦後」からの作品展示です。
中村立行(1912~1995)---この展示会で唯一ヌード写真が5点展示されています。綺麗ですよ。
3部、戦争という「経験」--少年時代の戦争体験が写真家への道へ---
福島菊次郎(1912~ )---「ピカドン」「三里塚闘争」「東大闘争」
---体制の矛盾に焦点を当てる作家
東松照明(1930~ )---「チューインガムとチョコレート」米軍基地を取材した作品。
今回の展覧会は、総花的で少々不満に感じました。1930年代から1960年代の世相を見るという感じで・・・・・・
それなりの価値はあると思います。
| 固定リンク
コメント