ジェームズ・アンソール展
いずれも終了間際(12日まで)だったので
ベルギーの象徴派展にしようかと、出かけてからも迷いましたが、総合展は世田谷美術館で観る事にして、今回は個人展のアンソール展に行きました。
総合展(企画展)は、鑑賞後にがっかりする事も多いのですが、個人展は、作家の人生を感じることができてそれなりの充実感が味わえます。
アンソールの絵画も初期のリアリズム、外光派の中にとても良い絵画があります。
待ち合わせ(1882) --テーブルにあたる外光が印象的--
扇を持つ夫人(1880) --扇のみどり--
ブリッセル市庁舎(1885) --壁面の市松模様--
オオステンドの大眺望(1884) ---キャンバスの5分の1が空---
何故か、この部屋に「貝殻ふくよかな形」(1938)が展示されています。明らかに画法、色使いが違います。同じ作家のものとは思えません。
釣りのカップル(1873~75)
オーステンドのカフェ・ディバりオ(1976)
ナポレオン要塞(1876)この3作品は、空の表情がとても良い(暗めの淡い水色)、絵肌も綺麗です。
放蕩息子の帰還は(1877)ミレーの色使いと構図を彷彿とさせます。
海景・日没(1885)は、マネの印象・日の出を想起させます。
どうでしょうか、私にはシノワズリーの感化の元に描かれた作品は感心しませんでした。ゴッホにしても、浮世絵
がどうも美しくない(極言すれば、汚らしい)藤田嗣治のような、洗練さっれた取り入れ方が正当に思えるのですが..........
アンソールの1890年前後の作品に
悲しみの人(1891)
愛の園(1888)
首吊り死体を奪い合う骸骨たち(1891)
楽園から追放されるアダムとイブ(1887)
嵐を静めるキリスト(1891)
そしてポスターの仮面と死神)(1897)
これらの作品の落差をどう捕らえたらいいのでしょう.......今回の展覧会で考えたことです。
その後(展覧会の最終コーナー)
キリストと病める者たち(1938)
断末魔のキリスト(1931)
オーステンドのカーニバル(1933)
花言葉(1938)と描き続けます。単純な構図と淡白な筆使い、色使いに極端に画法が変化します。絵の具をあまり塗り重ねず
明瞭な淡色系の絵の具を筆でなでるという感じです。
そして「我と我色彩と持ち物」(1939)が油彩画の最終展示作品です。
彼の集大成なのでしょうか。それとも、諦観なのでしょうか...........
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