X(エックス)
「神を物として考えると分からなくなる。むしろ働きのほうがいい。物として考えるとどこかにいるような感じがするから余計に分からなくなる。神は全ての物の中に働いている。そう考えるほうが現代人にも分かる」 遠藤さんはよくそういっていました。 例えば、人と人との出会い。出会いの、不思議さの裏にはXがあると遠藤さんが言う時には、そういう力をいっていると思う。 遠藤さんの短編「もし......」にこんな一節があります。一人の人間が他人の人生を横切る。もし横切らねばその人の人生は別だったかも知れぬ。そのような形で我々は毎日生きている。そしてそれに気づかぬ。人々が偶然とよぶこの「もし」の背景に何かがあるのではないか。「もし」をひそかに作っているものがあるのではないか。
”我等なぜキリスト教徒となりし乎”から引用
安岡章太郎、井上洋冶 著 1999年初版
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