2018.04.17

「ルドン ― 秘密の花園」展

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「ルドン ― 秘密の花園」展は、
三菱一号館美術館で開催されています。


会期 2018年2月8日(木)~5月20日(日)


この企画展の注目作品は、
ドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂装飾画ですね。
オルセー美術館所蔵の15点と三菱一号館美術館の《グラン・ブーケ(大きな花束)》が揃って展示されるのはこの展覧会が初めてだそうです。

ちょっと残念だったのは、食堂の雰囲気丸ごとを感じられるような展示にはなっていなかったことです。
その点を配慮してでしょうか、何時もの?撮影コーナー(室)四方にコピーを展示していました。
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ルドンというと「異形のフォルム、モノトーン、思索的」な作品を多く見てきたように思いますが、この企画展でルドンの画家人生と作品を網羅的に観ることができたと思います。


展覧会の構成は次の通りです。
(会場内のキャプションを参考にしています)
1、コローの教え、ブレスダンの指導
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《スペインにて》
1865年 エッチング/紙 22.2×15.9 cm  シカゴ美術館
パリからボルドーに帰郷した当時、ボルドーには、ロドルフ・ブレースタンが滞在しており、ルドンはこの版画家からエッチングの手ほどきを受ける。
本作はこの頃制作された初期のエッチング作品の1つ。

2、人間と樹木
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《夢の中で》『ゴヤ頌 』 III. 陰気な風景の中の狂人
1885年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)22.7×19.3 cm 三菱一号館美術館
ルドンは1874年頃からレイサック夫人のサロンに通っていた。
新たな技法を獲得したルドンは、次々と石版画を製作するようになり、1879年に最初の石版画集「夢の中で」が完成する。
わずか25部のみの印刷部数で、そのほとんどがメイサック夫人やサロンの仲間たちによって引き取られた。

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《アレゴリー(太陽によって赤く染 められたのではない赤い木)》
1905年 油彩/カンヴァス 46.0×35.5 cm  三重県立美術館
「赤い木」をルドンは幾度も描いており、画家にとって特別な象徴性を持っていると考えられる。
中央に描かれた人物は「キリストの洗礼」や「ノリ・ナ・タンゲレ(我に触れるな)」と言ったキリスト教美術の伝統的な主題と関連付けられている。
一方で、明るい色彩や貝殻のようなモチーフは神話主題も想起させる。

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《キャリバンの眠り》
1895-1900 年 油彩/カンヴァス 48.3×38.5 cm オルセー美術館
シェイクスピアの戯曲「テンペスト」に登場するキャリバンは、主人公プロスペローに仕えた野蛮な奇形の奴隷である。
異形の生物を好んで描いたルドンにとって「テンペスト」に出てくる小怪物は創作意欲を刺激されるキャラクターだった。
樹木は、空想上の存在の寄り代として描かれる・・・・

3、植物学者アルマン・クラヴォー

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『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)』 VI. 日の光
1891年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ) 21.0×15.8 cm 三菱一号館美術館
1891年に80部限定で出版された石版画集「夢窓」の題名は、その前年にボルドーの自宅で自殺したルドンの年上の友、アルマン・クラヴォーに捧げられた。
窓枠の向こうに樹木が描かれ、室内には胞子か細胞のようなものが舞っており、植物学者へのオマージュとなっている。

4、ドムシー男爵の食堂装飾
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《グラン・ブーケ(大きな花束)》
1901年 パステル/カンヴァス 248.3×162.9 cm  三菱一号館美術館
ロベール・ド・ドムシー男爵(1862-1946)の城館を飾った16点の壁画のうちの1点です。
16点のなかで最大、華やかさがひときわ目立つ三菱一号館美術館自慢の所蔵品ですね。

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左《人物》右 《人物(黄色い花)》
1900-1901年 木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス  オルセー美術館
「オルセー所蔵15点のドムシー男爵の城館の食堂壁画」のうちの2点。
暖炉のマントルピ-ス上の壁に配された作品。

5、、「黒」に棲まう動植物

6、、蝶の夢、草花の無意識、水の眠り
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《 蝶 》
1910 年頃 油彩/カンヴァス73.9×54.9 cm ニューヨーク近代美術館( MoMA)
描かれているのは蝶なのか花なのか?ルドンの絵にはこうした曖昧な部分がみられ、鑑賞者には多様な解釈が許されています。


7、再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな
ルドンは初期から花瓶の花を描いてきたが、晩年には特別に制作数が増えている。合計81種類の花瓶が使われたことが判明しているが、そのうち1つは陶芸家のマリー・ボトキンの手によるもので角度を変えながら計7点が描かれている。また日本の役者を描いた上も数点描かれ描かれている。
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《野の花のいけられた花瓶》
1910年頃 油彩/カンヴァス 55.9×39.4 cm  NGAナショナル・ギャラリー、ワシントン

8、装飾プロジェクト


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HPの「本展の見どころ」から
三菱一号館美術館では2018年2月8日(木)~5月20日(日)まで「ルドン―秘密の花園」展を開催します。
オディロン・ルドン(1840-1916年)は、印象派の画家たちと同世代でありながら、幻想的な内面世界に目を向け、その特異な画業は、今も世界中の人の心を魅了して止みません。なかでも本展は植物に焦点をあてた、前例のない展覧会となります。
本展の大きな見どころは、フランス・ブルゴーニュ地方に居を構えた美術愛好家のドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂の装飾画です。完成後、装飾画はドムシー城に秘蔵され、当館所蔵の《グラン・ブーケ(大きな花束)》を除く15点は食堂の壁から取り外され1980年には日本でも公開されましたが、1988年にフランスの“相続税の美術品による物納”制度により国家所有に帰し、現在はオルセー美術館の所蔵となっています。残された《グラン・ブーケ》は制作後110年目の2011年3月、パリで開催されたルドン展にて初公開され、今日まで当館の所蔵品として幾度か公開してきましたが、本展では、オルセー美術館所蔵の15点と合わせてドムシー城の食堂を飾ったルドンの装飾画が一堂に会す日本初の機会となります。
このほか、世界有数のルドンコレクションとして名高い岐阜県美術館をはじめ、国内の美術館、そして、オルセー美術館、ボルドー美術館、プティ・パレ美術館(パリ)、ニューヨーク近代美術館[MoMA]、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、シカゴ美術館、フィリップス・コレクションなど海外の主要美術館から、植物のモティーフのルドン作品が来日し、およそ90点により構成する大規模なルドン展となります。



三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第1章「コローの教え、ブレスダンの指導」
第2章「人間と樹木」
第3章「植物学者アルマン・クラヴォー」
InternetMuseum


三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第4章「ドムシー男爵の食堂装飾」
InternetMuseum


三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第5章「『黒』に棲まう動植物」
第6章「蝶の夢、草花の無意識、水の眠り」
第7章「再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな」
第8章「装飾プロジェクト」
InternetMuseum

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2018.04.10

ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより

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「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」展は、
横浜美術館で開催されています。

会期 2018年3月24日(土)~6月24日(日)

19世紀のイギリスでは、ヌードは古典文学や神話、聖書を題材とした歴史画でのみ、描くことが許されていました。
19世紀も後半になると、周辺の身近な人々のヌードを描くようになります。
20世紀に入ると、ヌードそのものを対象として描き、抽象表現も現れ、性と無意識という新たな領域(シュルレアリスム)にも挑戦しました。
政治的表現の一手段としてのヌード。
筆触、デフォルメ、構図による人体の物質性と内面性の表現。
移ろいゆく肉体とヌード。

永遠の画題、テーマであるヌードを社会的背景、美術史的視点、表現手法、画法・・・あらゆる視点で分かり易く展示しています。
油彩画を中心に、彫刻、写真、版画等130点の展示です。

本展ではロダンの《接吻》のみ撮影可です。
オーギュスト・ロダン《接吻》 1901-4年、ペンテリコン大理石
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美術ナビのロダン接吻の秘密はこちらから
人気漫画家あべ美幸がヌード展のために描きおろしたロダン『接吻』の秘密。ロダン彫刻で”最もエロティック”な大理石像に秘められたストーリーを描きます。


展覧会の構成は次の通りです。
第1章 物語とヌード
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フレデリック・レイトン 《プシュケの水浴》 1890年発表 油彩/カンヴァス
ビクトリア王朝の典型的なヌード。


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ハーバート・ドレイパー イ 《カロス哀悼》 1898年発表 油彩/カンヴァス
ドレイパー イは、ラファエル前派の画家で海を舞台とした神話的作品を得意とした。

第2章 親密な眼差し
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エドガー・ドガ 浴槽の女性 1883年頃 パステル/紙
「われわれは鍵穴を通して彼女たちを覗き見ている」と彼自身が語ったようにドガは日常生活の一瞬を捉えた自然な体勢の裸婦を多く描きました。

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ピエール・ボナール 浴室 1925年 油彩/カンヴァス
浴槽にいる妻マルトを描いた連作の中で初めて全身像。
ボナールは、対象を観察しすぎることで第一印象から遠ざかることを避けるために目の前にいるモデルは描かず、記憶を頼りに描くことを好んだ。

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オーギュスト・ルノワール ソファに横たわる裸婦 1915年 油彩/カンヴァス

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アンリ・マティス 布をまとう裸婦 1936年 油彩/カンヴァス


第3章 モダン・ヌード
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ヘンリー・ムーア 倒れる戦士 1956–57年(1957–60年頃鋳造) ブロンズ
戦いで傷つき弱った人間の死を前にした劇的な瞬間を描いている。

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パブロ・ピカソ 首飾りをした裸婦 1968年 油彩/カンヴァス
マネのオランピアを参照したことが指摘されている。
モデルはピカソの2番目の妻ジャクリーヌ・ロックといわれる。

第4章 エロティック・ヌード
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デイヴィッド・ホックニー 23、4歳のふたりの男子「C.P.カヴァフィスの14編の詩」のための挿絵より 1966年
エッチング・アクアチント/紙
イギリスで同性愛が違法だった時代に男性同士の親密な関係を描いた。


ターナーは風景を描くため旅行に携えたスケッチブックに観察と想像に基づいたエロチックなスケッチが残されている。
1850年代ターナーの名声を守るための遺産管理人によってこうしたデッサンの多くが消去されたが、近年その存在が明らかになり研究が進んでいる。
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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手「スイス人物」スケッチブックより 1802年 黒煙、水彩/紙

第5章 レアリスムとシュルレアリスム
10
ポール・デルヴォー 眠るヴィーナス 1944年 油彩/カンヴァス
スピッツナー博物館の展示物に触発された作品。
人体の骨格標本や横たわる女性のポーズも博物館の展示品からとられている。
本作は爆撃被害に遭っていた戦時中のブリュッセルで描かれており、画家は後に、本作についてヴィーナスの静謐さと当時の劇的な状況を意図したと述べている。

第6章 肉体を捉える筆触
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ルシアン・フロイド 布切れの側に佇む 1988–89年 油彩/カンヴァス
長時間に及ぶモデルの観察を経て描かれる彼の作品には、画家とモデルとの間の心理的な緊張が反映されている。

第7章 身体の政治性
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バークレー・L・ヘンドリックス ファミリー・ジュールス:NNN (No Naked Niggahs[裸の黒人は存在しない]) 1974年
油彩/カンヴァス
裸の黒人男性を伝統的なオダリスクに置き換え、それをシャツに描かれた白人女性が見つめるという構図で描き、黒人男性の身体に対する白人の恐怖感や性的固定観念に向き合った 。
理想化された黒人像ばかりを描いてきた当時の黒人芸術に対する挑戦でもあった。


第8章 儚き身体

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シンディ・シャーマン 無題 1982年 タイプCプリント


HPから「展覧会概要」です。
ヌード――人間にとって最も身近といえるこのテーマに、西洋の芸術家たちは絶えず向き合い、挑み続けてきました。美の象徴として、愛の表現として、また内面を映しだす表象として、ヌードはいつの時代においても永遠のテーマとしてあり続け、ときに批判や論争の対象にもなりました。
本展は、世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇る英国テートの所蔵作品により、19世紀後半のヴィクトリア朝の神話画や歴史画から現代の身体表現まで、西洋美術の200年にわたる裸体表現の歴史を紐ときます。フレデリック・ロード・レイトンが神話を題材として描いた理想化された裸体から、ボナールらの室内の親密なヌード、男女の愛を永遠にとどめたロダンの大理石彫刻《接吻》[日本初公開]やシュルレアリスムの裸体表現、人間の真実に肉迫するフランシス・ベーコン、さらにはバークレー・L・ヘンドリックスやシンディ・シャーマンなど、現代における身体の解釈をとおして、ヌードをめぐる表現がいかに時代とともに変化し、また芸術表現としてどのような意味をもちうるのか、絵画、彫刻、版画、写真など約130点でたどります。
2016年のオーストラリアを皮切りにニュージーランド、韓国へと国際巡回する本展。待望の日本上陸です

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2018.04.05

「生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ近代動物画の冒険」

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「生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ近代動物画の冒険」は、
泉屋博古館(東京)で開催されています。

会期 2018年2月24日(土)~ 4月8日(日)

人気作品は「寒月」ですね。
作品前の椅子に座って鑑賞するのがお勧めです。
目線がちょうどいいですよ。
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寒月 大正元年(1912) 絹本着色 六曲一双 京都市美術館
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モノクロームのように見えますが・・・
青、緑、茶を上手く使っています。岩絵の具を工夫し(使いこなして)微妙な表現を獲得しています。
・・・こだわり満載の作品です。
冷気に包まれた空間に冴えわたる下弦の月、慎重に歩を進める鋭い目つきの狐。
臨場感が見事に伝わってきます。
(夏目漱石が徹底的に酷評した、いわくつきの屏風だそうですが・・・)

木島櫻谷の描く動物は高く評価されました。
野卑に走らず、どこか知的で優美な動物たち、その優しいまなざしは、生涯にわたり櫻谷の作品に生き続けました。(キャプションより)

展覧会の構成は次の通りです。
青年のころ ―雄渾自在な筆勢
壮年のころ ―洗練の色彩、緻密な彩色
暮年のころ ―動物を見つめ、自身を見つめ


輪郭線はほとんど見られず、塗り重ねた色面のみで肉体を描いています。
丹念に繰り返した写生による画力が結実しているようです。
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獅子虎図屏風(右隻) 紙本着色 六曲一双 明治37年(1904)


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写生帖 猫(部分) 明治後期 櫻谷文庫


割筆を使って乾いた墨調で剛毛の質感を、潤った墨調で顔や足先などを描いています。
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熊鷲図屏風(右隻部分) 紙本墨画着色 二曲一双  明治後期

鹿は動物園や奈良公園で、中央の大木は今なお衣笠の自邸画室前に健在の唐楓を写生したそうです。
晩秋から初冬の景色。生え変わったばかりの豊かな冬毛が丹念に描かれています。
古来鹿は、その姿や声に秋の到来、もの悲しさ、孤独が重ねられ絵画化されてきました。
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角とぐ鹿 絹本着色 1幅 昭和7年(1932) 京都市美術館

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かりくら(部分) 絹本着色 2幅 明治43年(1910) 櫻谷文庫
「かりくら」とは狩り競べのことです。

HPの解説です。
京都の円山・四条派の流れをくむ今尾景年に学んだ櫻谷は、20代で頭角を現し、明治後半から大正期にかけて文展の花形として活躍しました。画業のなかで、最も高く評価されたのが動物画です。それは徹底した写生を基礎に、卓越した技術と独自の感性により創造されたもの。確実で精緻にとらえられた動物の表情は、一方で情趣にあふれ、どこかもの言いたげです。
本展では彼の描いた"動物"に着目し、その代表作はもちろん未公開作品を一堂にあつめ、多様な表現とその変遷をたどります。また櫻谷文庫に遺された多くの資料調査から、それらの制作背景や画材などをあわせて紹介します。(展示替えがあります)


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2018.04.02

観てきた展覧会備忘録 2018年3月

浜田知明 100年のまなざし
2018年3月10日(土)〜4月8日(日)
町田市立国際版画美術館


博物館でお花見を
会期 2018年3月13日(火)~2018年4月8日(日)
東京国立博物館


人体―神秘への挑戦―
会期 3月13日(火)~6月17日(日)
国立科学博物館


日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光
会期 2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日)
国立西洋美術館


マーグ画廊と20世紀の画家たち―美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を中心に
2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日)
国立西洋美術館[新館 版画素描展示室]


寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
会期 2018年2月14日(水)〜4月8日(日)
サントリー美術館


至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
会期 2018年2月14日(水) ~ 5月7日(月)
国立新美術館


河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵(内覧会参加)
暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─
会期 2018年4月1日(日)~6月24日(日)
東京富士美術館


「en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展」  (会期終了)
会期2018年1月24日(水)~ 3月18日(日)
TOTOギャラリー・間(ま)

 
江戸の女装と男装
会期 2018年3月2日(金)~3月25日(日)  (会期終了)
太田記念美術館


ボストン美術館 パリジェンヌ展  (会期終了)
時代を映す女性たち
会期 2018年1月13日(土)~4月1日(日)
世田谷美術館

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2018.03.30

ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

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「ボストン美術館 パリジェンヌ展
時代を映す女性たち」は、
世田谷美術館で開催されています。

会期 2018年1月13日(土)~4月1日(日)

この展覧会の時代背景は、
1715年ルイ15世が5歳で即位、1774年ルイ16世即位、その18世紀からシャルル・ドゴールが第5共和政(1958年)の初代大統領に選出される20世紀中ごろまでです。

パリという魅力あふれる都市に生きる(生きてきたた)女性を・・・
あるべき姿とされた時代から(社会的な位置づけ)社会進出に至る過程での変遷をファッションアイテム、肖像画、調度などを通して概観しています。


一番の注目はこの作品でしょうか・・修復後初公開です。
酒場を渡り歩く歌い手を描いた作品。
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エドゥアール・マネ 《街の歌い手》
1862年頃 油彩・カンヴァス 

この作品のモデルは10年以上にわたりマネのモデルを務めたヴィクトリーヌ・ムーランである。彼女はアルコール中毒と貧しさの中で亡くなったとされていたが、近年の研究で後年はサロンでも出品する画家として活躍していたことが明らかになった。(キャプションから)


展覧会の構成は以下の通りです。
第一章 パリという舞台・・邸宅と劇場に見る18世紀のエレガンス
ルイ15世の寵愛を受けた女性(チラシより)
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フランソワ・ユベール・ドルーエ 《トルコ風の衣装を着たマルグリット・カトリーヌ・エノー嬢、後のモンムラ侯爵夫人》
1762年 油彩・カンヴァス 

舞台衣装がトレンドに(チラシより)
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原画、版刻:ジャン=バティスト・マルタン 出版:エスノー、ラピイ 《ヴィーナス…『ギャルリー・デ・モード・エ・コスチューム・フランセ』フランスの衣服25、1779年の流行の衣服19より》
1779年 エッチング、手彩色 

第二章 日々の生活・・家庭と仕事、女性の役割
若い召使、誘惑するまなざし(チラシより)
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ルイ=レオポルド・ボワイ― 《アイロンをかける若い女性》
1800年頃 油彩・カンヴァス 

自立する女性を揶揄する風刺画(チラシより)
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オノレ・ドーミエ 《〈青鞜派〉第28図(『シャリヴァリ』1844年5月23日)》
1844年 リトグラフ、第3ステート 

第三章 パリジェンヌ確立・・憧れのスタイル
パリジェンヌになりきる、ボストン社交界の美女(チラシより)
05
ジョン・シンガー・サージェント 《チャールズ・E. インチズ夫人(ルイーズ・ポメロイ)》
1887年 油彩・カンヴァス 

ウジェニー王妃お気に入りの肖像画家の傑作(チラシより)
04
フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター 《ヴィンチェスラヴァ・バーチェスカ、ユニヤヴィッチ夫人》
1860年 油彩・カンヴァス

第四章 芸術をとりまく環境・・製作者、モデル、ミューズ
ルーブルで絵画鑑賞するカサット姉妹(チラシより)
08
エドガー・ドガ 《美術館にて》
1879–90年頃 油彩・カンヴァス

第五章 モダン・シーン・・舞台、街角、スタジオ
ベル・エポックのキュートなイラスト(チラシより)
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ゲアダ・ヴィーイナ 《スコットランドシルクのベスト、ねずみ色の綿の厚手クレープのスカート『ジュルナル・デ・ダム・エ・デ・モード』より、プレート170》
1914年 エッチング、手彩色(ポショワール) 

戦後パリのみずみずしいファッション写真(チラシより)
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レギーナ・レラング 《バルテ、パリ》
1955年 ゼラチン・シルバー・プリント 


HPの解説です。
パリという魅力あふれる都市に生きる女性、パリジェンヌ。サロンを仕切る知的な女主人、子を慈しむ美しい母、流行を生み出すファッショニスタ、画家のミューズ、そして自ら道を切り開き才能を開花させた画家や女優――その多様な生き方は、今なお私たちを惹きつけてやみません。

本展覧会では、マネの《街の歌い手》をはじめ、ドガやルノワールなど印象派の巨匠が描いた女性の肖像、カサットやモリゾなど女性芸術家による傑作、カルダンやバレンシアガの斬新なドレスからブリジット・バルドーほか映画や舞台で活躍した女優のポートレートまで、ボストン美術館所蔵の多彩な作品約120点を通して、18世紀から20世紀のパリを体現する女性たちの姿に迫ります。

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2018.03.21

人体―神秘への挑戦― 展

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人体―神秘への挑戦― 展は、
国立科学博物館で開催されています。

会期 3月13日(火)~6月17日(日)


開催錚々、大変混雑しています。
混雑時には、整理券の配布を行っています。(観に行かれる方はHPで確認してくださいね!)
なるべく、土日(休日)は避けた方がよさそうです。

科博の特別展は撮影可であることが多いのですが、本展は、一部を除いて不可になっています。
また、ヒトの臓器標本が展示されています。
夫々の部位に分けて展示されていて、展示場所は壁で囲まれています。
希望者のみ列に並んで鑑賞することになっています。


ーーーHPの開催概要からーーー

ルネサンスより続く人体を理解するための努力の歴史を振り返りながら、人体の構造と機能を解説し、最先端の研究でどのように変わりつつあるのかを紹介します。


ご観覧に際して
本展覧会では、一部のエリアで、私たちの臓器の構造や機能を正しく知っていただくために、ヒトの臓器標本を展示しています。
なお、展示にあたりましては、ご希望の方のみご観覧いただけるよう配慮しております。ご希望されない方のご観覧は、ご自身の判断によりお控えください。
また、本展覧会では指定された場所以外での写真撮影は禁止です。ヒトの臓器標本の撮影も禁止です。
以上のことをご了承のうえ、ご来場くださいますよう、ご案内申しあげます。

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科博では定番ですが、NHKとのコラボ企画です。
各コーナーに置かれたディスプレーに高精細動画が流れていて分かり易く解説しています。

人体理解の歴史、科学の力(進歩)による人体理解の進化、視覚化、そして尽きることのない「不思議」・・・・・会場内には膨大な展示資料が・・・・老化した頭には詰込み切れませんした!
医学の進化はこれからも見逃せません。


以下に展覧会の構成を記します。

第一章 人体理解へのプロローグ
古代ヨーロッパの人体感
アルクマイオンとガレノス

ルネサンス期の解剖学の先駆け
モンディーノ・デ・ルッツイ

「万能の巨人」レオナル・ド・ダヴィンチ
レオナル・ド・ダヴィンチの「解剖手稿」

ウィンザー城王室コレクション所蔵のレオナルドダヴィンチの解剖図

ルネサンス期の人体感
近代解剖学の祖
アンドレアス・ヴェサリウス
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16世紀の医学・解剖学者アンドレアス・ヴェサリウスの「ファブリカ」初版本 1543年 広島経済大学


解剖学の普及
パドヴァの解剖劇場

ワックスモデル
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消化管のワックスモデル
ジュール・タルリッシュ 1876年 ブールハーフェ博物館

キンストレーキ
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キンストレーキ(女性) 19世紀 福井市立郷土歴史博物館
ワックスモデルが高価であったため張り子製の人体模型を考案した。

先端技術で見る人体

ウィンザー城王室コレクション所蔵のレオナルドダヴィンチの解剖図

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第2章 現代の人体理解とその歴史
2-1 循環器系と泌尿器系
循環器系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチが見た心臓の内景

顕微鏡の発見と毛細血管の発見

血液循環説を唱えた   ウイリアム・ハーヴェイ
毛細血管を発見した   マルチェロ・マルピーギ

ディヴィニ制作の複式顕微鏡

光学顕微鏡の発達と歴史

18世紀の複式顕微鏡

ミクロの世界を発見した   アントニ・ファン・レーウェンフック
レーウェンフックの単式顕微鏡
レーウェンフックの観察した毛細血管
ブールハーフェ博物館とレーウェンフックの顕微鏡

心臓の構造と機能

循環器系の構造と役割

さまざまな動物の心臓の比較解剖
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2心房2心室がお馴染みの人間の心臓は、両生類や爬虫類とは構造が異なるのだ。
開放血管系と閉鎖血管系

毛細血管の構造と機能

泌尿器系の概要
腎臓の構造と働き
尿の生成
腎臓による血圧の調整

さまざまな動物の腎臓の比較解剖

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2-2 神経系
神経系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチ考えた脳の構造
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「解剖手稿」より頭部断面、脳と眼の結びつき部分
1490-92年頃 ウィンザー城王室コレクション

進みゆく脳の理解
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脳の神経線維模型  1893-1910年頃 ブールハーフェ博物館

神経研究のパイオニア  カミッロ・ゴルジ
ニューロン説を唱えた   サンチャゴ・ラモン・イ・カハール

日本の神経解剖学研究
日本の神経解剖学の草分け  布施現之助
萬年図譜の世界  萬年甫

中枢神経と末梢神経の形態
脳の構造
中枢神経:脳と脊髄

さまざまな動物の脳の比較解剖

ヒトの脳の進化

脳の中の人体地図を発見した   ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド

アインシュタインの脳切片
14
1955年以降 新潟大学脳研究所


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2-3 消化器系と呼吸器系
消化器系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチの観察した消化器系
01
「解剖手稿」より消化管と腎臓そして尿管部分
1506-08年頃 ウィンザー城王室コレクション

消化管の構造と役割
胃・小腸・大腸・肝臓・腎臓と脾臓、

さまざまな動物の消化器系の比較解剖

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呼吸器系の概要
呼吸の理解

呼吸の本質を解明した  アントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジェ

肺の構造と役割

さまざまな動物の肺の比較解剖


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2-4 運動器系
運動器系(骨と筋肉)の概要
骨格の構造と関節の役割
運動を起こす筋肉
ヒトの全身の筋肉
さまざまな動物の骨格
アクチンとミオシン
造血

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2-5 人体の発生と誕生
人体の発生の概要
ヒト胚の成長
ヒトの体内での成長 
ヒトの成長
江戸時代の人骨に見るヒトの成長
同一人物(男性)の小学校1年生から高校1年生までの手の骨の成長の様子
同一人物(女性)の小学校1年生から中学3年生までの手の骨の成長の様子


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第3章 人体理解の将来に向けて
DNA の研究史
DNA ・遺伝子・ゲノム
ヒトとチンパンジーのゲノムの違い
縄文人のゲノムを読む
エビジェネティクス
哺乳類はどのように進化したのか・そしてヒトは

プロローグ神秘の巨大ネットワーク
NHK スペシャル
人体神秘の巨大ネットワーク

体 内美術館
11
腎臓の糸球体 ©甲賀大輔・旭川医科大学/日立ハイテクノロジーズ/NHK


国立科学博物館「人体 神秘への挑戦」展=ダビンチの手稿や臓器の実物も紹介
時事通信社/JIJIPRESS



ヒトの体の謎を解き明かす特別展「人体」国立科学博物館 NHKニュース

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2018.03.18

浜田知明 100年のまなざし展―戦争を経て、人間を見つめる

Photo


浜田知明 100年のまなざし展は、
町田市立国際版画美術館で開催されています。

会期 2018年3月10日(土)~4月8日(日)


浜田知明は2017年に100歳を迎えました。
浜田知明の創作活動の原点は戦争体験にあります。
戦争体験を伝える手段として選んだのが銅版画です。
「金属的な鋭い線とひやりとした感触」や明暗の深さに感情の表現を期待して。

そして、社会全般への眼差し、その中での個人の偶像も時にはユーモアをまじえて表現していきます。

この展覧会は初期銅版画から近年までの浜田作品を網羅するとともに、浜田と前後して銅版画による新しい表現を求めて活躍した関野準一郎、駒井哲郎、他数名の作品も併せて展示しています。

浜田は東京美術学校を卒業してすぐ召集されて、初年兵として22歳で中国大陸に渡りました。
通算5年間にも及ぶ兵役の後、表現方法を模索する中、1950年から、銅版画に取り組みました。


少年兵の頃、日々自殺を考えた浜田の自画像とも言える作品。
一人きりになれる唯一の時間である夜の歩哨の最中、銃口を喉元に当て引き金を足で引き自らの命を絶とうとする兵士が描かれている
ポロリとこぼれた涙は最後の人間らしさ。(キャプションから)
01
《初年兵哀歌(歩哨》1954年 エッチィング・アクアチント

07
《初年兵哀歌(便所の伝説》1951年 メゾチント

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1950年代後半になると社会へのまなざし・・・より広いまなざしで捉え作品に表現していきます。


08
《地方名士》1958年 エッチィング・メゾチント
中央と地方で二つのお顔を使い分ける人間の卑小さを風刺しています。
(※申し訳ありません、画像とタイトルが一致していなかったので、正しい画像に差し替えました。)

05
《群盲》1960年 エッチィング・アクアチント
当時の美術界にはアンフォルメル旋風が吹き荒れていた。何を描いたかわからないものを自分の目で見ず有難がる人々を皮肉った。
当時の美術会に対するアンチテーゼが込められている。(キャプションから)

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いっぽう1970年半ばからは、主題を個人の人間像に迫る、時にユーモラスナ造形が目立つようになります。

06
《ややノイローゼ気味》(銅版画集「曇後晴」収録) 1975年 エッチィング・アクアチント
ノイローゼになってから回復するまでの自らの体験をシリーズにした作品の中の一枚。


04
《夜》1988年 エッチィング・アクアチント
当時話題となった週刊誌の過熱報道やそれを楽しむ大衆の下品さが着想源の一つにあり、見えない世論とそれに踊らされる滑稽さを描いている。(キャプションから)


この展覧会の最終章では浜田の生涯のテーマである戦争体験という原点に立ち返り、浜田がつきつけてきた戦争体験と記憶をテーマとする作品を現代作家の作品とともに展示しています。

02
《ボタン(A)》1988年 エッチィング・アクアチント・手彩色
一部の指導者が世界を操る核と戦争の構造を表現しています。

戦前戦後を体験した画家の重たい示唆を受け止めながらの観賞になりました。

展覧会の構成は次に通りです。
1章 兵士のまなざし 刻み込んだ記憶 1951-1954年
2章 社会へのまなざし 「見えない戦争」を描く 1956-1974年
3章 人へのまなざし 愛しいかたち 1974-2002年
4章 新しい表現を求めて 1950年代の銅版画表現 
5章 記憶をつなぐ 時代を見つめつづけて 


HPの解説です。
「戦争の残酷さや悲惨さ、軍隊の野蛮さや愚劣さを描きたい」。戦争と軍隊の不条理に耐える初年兵としてこの強い意志を抱いたとき、浜田知明は21歳でした。そして、昨年100歳を迎えた画家が今なお抱え続ける原点の思いでもあります。通算5年に及ぶ過酷な従軍生活の後、27歳で終戦を迎え、中断を余儀なくされた画家の活動を再開。1950年、32歳で駒井哲郎や関野凖一郎らと交流しながら本格的に銅版画制作を開始し、戦争経験を糧に『初年兵哀歌』シリーズを生み出しました。

初年兵として抱えた心の痛みに留まらず、侵略者としての自己にもまなざしを向けたこのシリーズは、銅版画ならではの冷たいマチエールが印象的です。否応無く戦争に巻き込まれる人間の哀しみを、敵味方を超えて表現し、戦後日本の版画に新たな地平を開きました。
その後の浜田が描いたのは社会や人間、そして自分自身の諷刺です。鋭くユーモラスな主題と造形で社会の本質を突き、弱く愚かな人間への愛を作品にこめました。60代から手がける彫刻にも、造形の魅力が詰まっています。
本展では、寄贈により近年新たに収蔵した作品を中心に、初期から近年までの銅版画約90点と彫刻作品4点を当館所蔵品からご紹介。あわせて、浜田と前後して銅版画による新しい表現を追い求めた駒井哲郎、瑛九、浜口陽三、池田満寿夫らの作品も展示し、合計約150点をご堪能いただきます。
100歳を迎えようとしてもなお、深いまなざしで時代を見つめ続ける浜田の軌跡を追うことは、現代の私たちへの大きな問いかけとなるでしょう。


InternetMuseumの動画を追加しました。

町田市立国際版画美術館 浜田知明 100年のまなざし
1章 兵士のまなざし 刻み込んだ記憶 1951-1954年
2章 社会へのまなざし 「見えない戦争」を描く 1956-1974年
InternetMuseum



町田市立国際版画美術館 浜田知明 100年のまなざし
3章 人へのまなざし 愛しいかたち 1974-2002年
InternetMuseum



町田市立国際版画美術館 浜田知明 100年のまなざし
4章 新しい表現を求めて 1950年代の銅版画表現 
5章 記憶をつなぐ 時代を見つめつづけて 
InternetMuseum

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2018.03.15

寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽

Photo
「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」は、
サントリー美術館で開催されています。

会期 2018年2月14日(水)〜4月8日(日)

「寛永の美」というタイトルから瞬間的にはイメージが湧いてきませんが・・・遠州、仁清、探幽という固有名詞からは映像が浮かんできます。

小堀遠州(1579~1647)は寛永文化を代表する茶人で、武家の教養としての「大名茶」を目指すべく様々な新機軸を打ち出し、新旧あらゆる世界の道具から選別し、その景色は後に「きれい寂(さ)び」と評されるようになりました。
02
瀬戸肩衝茶入 銘 飛鳥川 江戸時代 17世紀湯木美術館
遠州が生涯で最も愛した茶入。59歳以降、少なくとも70回近く使用したことが知られている。
遠州は堺でこのお茶入れを初めて見た時、新しいものを見て惹かれなかったが、晩年に伏見で見直すと、その素晴らしさに驚き、所有したという。
銘は「古今和歌集」の和歌にちなむ。
(展示品キャプションから)


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仁清といえば色絵のイメージが強いですが、実際公家が求めた御室焼は、モノトーンの作例が多い、この展覧会には、仁清のこの様な作例の作品が沢山展示されており、仁清理解が深まります。

野々村仁清は、御室仁和寺の門前に窯を開き、御室窯の活動を開始します。そして、この開窯にあたって指導者的な位置にあったのが、遠州と同じく寛永期に活躍した茶人、金森宗和です。

金森宗和の没後御室焼は色絵技法の寛政を背景に隆盛期を迎え諸大名の座敷飾りの調度として求められるようになりました。
051
色絵花輪違文茶碗 一口 野々村仁清 江戸時代 17世紀 サントリー美術館
口縁の外側に銀彩 の帯を廻らせ、胴の中腹に花輪違文を、その下に花入りの連弁文を色絵で表す。
色絵の花輪違文茶碗は、金森宗和の生前にすでに作られていた。
本作はそこに銀彩や連弁文が加えられており、宗和好みを継承しつつ華やかさが加えられてものと考えられる。
(展示品キャプションから)


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探幽の絵画は後水尾院に称賛されるなど、宮廷文化からも評価されるものでした。
その画風は、探幽と交流のあった小堀遠州の「きれい寂び」に通じるものとも言えるでしょう。すなわち、探幽の新様式は、武家や公家といった枠組みを越えて共有されていた、最先端の「時代の美」だったのです。

01
桐鳳凰図屛風 狩野探幽 六曲一双 江戸時代 17世紀 サントリー美術館
数少ない探幽の金地濃淡屏風。それまでの狩野派の絵と比べてモチーフが極めて少ない。樹木の表現も桃山時代のような構図の重心をなすものものではないなど新しい構成原理で描かれている。完成された探幽様式による本屏風は、以後の探幽派の規範となり描き継がれていった。(展示品キャプションから)


06
名古屋城上洛殿上段之間襖絵 高士渡橋「帝鑑図」  四面 狩野探幽 寛永11年(1634) 名古屋城総合事務所


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HPの解説です。
17世紀初め、江戸幕府が政権を確立すると戦乱の世は終わりを告げ、泰平の時代がおとずれました。時を同じくして文化面でも新たな潮流が生まれます。それが寛永年間(1624~44)を中心に開花した「寛永文化」です。寛永文化は「きれい」という言葉に象徴される瀟洒な造形を特徴とし、当時の古典復興の気運と相まって、江戸の世に「雅」な世界を出現させることとなりました。
寛永文化の中心は京都にあり、なかでも学問・諸芸に造詣の深かった後水尾院(ごみずのおいん)は、長く絶えていた儀礼や古典文芸の復興に心を尽くしたことで知られています。特に和歌は朝廷を象徴する芸能に位置づけられ、その洗練された優美さを追求する姿勢は、和歌のみならず、多くの美術作品にまで影響を及ぼすこととなりました。
一方、幕府はそうした公家衆の動向に注目し、時には意見を異としながらも、公武間の文化的な交流は盛んに行われました。京都のサロンを主な舞台としたその交流は、さまざまな階層の人々を巻き込み、公家、武家、町衆といった垣根を越えて、新しい時代にふさわしい美意識を醸成し、共有されていったのです。
本展ではこのような近世初期の「雅」を担った宮廷文化と、それと軌を一にして生まれた新時代の美意識が、小堀遠州(こぼりえんしゅう)、野々村仁清(ののむらにんせい)、狩野探幽(かのうたんゆう)などの芸術に結実していく様子をご覧いただきます。

08
朝儀図屛風 六曲一双 土佐光起 江戸時代 17世紀 茶道資料館
宮廷儀礼を題材として業務で右隻には「小朝拝」左隻には塑旦 冬至を描いている。後水尾院は朝議復興、本作は復興された儀礼を後世に伝えるために描かれてた見られる。土佐派の絵師は儀礼の記録係的な役割を期待され 、本作はそれに答えてみせた光起の傑作である。(展示品キャプションから)

031
冠形大耳付水指 修学院焼 一口 江戸時代 17世紀 滴翠美術館


041
水仙文橙香合 東福門院和子 江戸時代17世紀 徳川美術館
東福門院は、最後の絵を描くことのみ、意匠は千宗旦、下絵は土佐光起、塗りは関宗長とされる。

東福門院は二代将軍徳川秀忠の娘で入内。
幕府の膨大な経済援助は京都を中心とする寛永文化を開花させる要因となりました。

展覧会の構成は以下の通りです。
第1章 新時代への胎動―寛永のサロン
第2章 古典復興―後水尾院と宮廷文化
第3章 新たなる美意識Ⅰ 小堀遠州
第4章 新たなる美意識Ⅱ 金森宗和と仁清
第5章 新たなる美意識Ⅲ 狩野探幽


サントリー美術館 寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
InternetMuseum


サントリー美術館 寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
InternetMuseum

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2018.03.09

トーハクの一品(その5) 色絵牡丹図水差(仁清)

トーハク(東京国立博物館)にはよく行きますので、気になる一品を少しづつ投稿してみようと思います。
主にスマホで撮っています。
展示替えが行われますので、必ず展示されているわけではありません。

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平成館で開催中の「特別展 仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ―」は大人気で、連日入館待ちの行列ができているようです。

「本館4室 茶の美術」には京都洛西仁和寺の門前で御室窯を開いた野々村仁清の「色絵牡丹図水差」が展示されています。仁清作としては珍しい絵柄の作品です。
素晴らしい作品ですのでトーハク行かれる方はこの作品も是非観てきてくださいね・・・お勧めです。

また東京ミッドタウンのサントリー美術館では「寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽」が開催されていて、仁清作品の全体像が概観出来ます。
仁清がいかに多様な作品を手掛けてきたかがよくわかる展示です。
こちらもいい展覧会ですよ。

Photo
重要文化財 色絵牡丹図水差
仁清 江戸時代・17世紀 昭憲皇太后御下賜

17世紀前半、京都洛西仁和寺の門前で御室窯を開いた野々村仁清は、卓越した轆轤の技と色絵の技に、王朝趣味を加えて典雅で優美な世界を作り上げた。この作は珍しく中国的な窓絵の構図を取りながら、入念な色絵による牡丹図が和様の趣をもたらしている。
(展示品のキャプションから)


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2018.03.07

国立西洋美術館の新収蔵品「舞台袖の3人の踊り子」

国立西洋美術館の企画展を観に行ったので、常設展も観てきました。
「新収蔵作品」が数点展示されていました、その中の一点「エドガー・ドガ 舞台袖の3人の踊り子」を紹介してみます。


ドガはバレエを扱った作品を多く描いていますが・・・・

オペラ座の定期会員になっていたドガは、楽屋や稽古場に自由に立ち入ることが許されていました。
そのため楽屋や練習風景、舞台袖といった一般人では出入りできない場所での場面を多く描いています。

ドガの時代のバレエダンサーは、社会的に今とは全く違う状況に置かれたいました。
ドガは、バレエダンサーとともに、暗示するように(影のように)パトロンをよく登場させています。

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Photo
エドガー・ドガ 舞台袖の3人の踊り子 1880-85年頃 油彩・カンヴァス
2016年購入


ドガにとってバレエは、最も重要な主題でした。彼が残した作品のうち過半数が、踊り子を対象にしています。19世紀パリの代表的な社交の場であったオペラ座で垣間見られる、現代生活の心理的諸相を鋭く観察するまなざしが、ドガにはあったのです。この作品では3人の踊り子のあいだにシルクハットをかぶった男性が影のように浮かび上がり、彼らの関係をめぐる想像を掻き立てます。素早い筆致、塗り残しによって光を表現する大胆な手法は、ドガの作品にあっては異例でした。
(展示品のキャプションから)

俯く踊り子、直立するシルクハットの影のような男。
取り囲む表情の見えない2人の踊り子。
嵐のときの空のような背景。
4人の心模様が見事に伝わってきます。

とても良い作品ですので、行かれることがあったら注目してくださいね。

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