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2020.03.14

NHKブックス 仏像 心とかたち

十年以上前に、展覧会での仏像鑑賞の予習、復習にと買い求めた本です。
再読したいと思い立ったので・・・紹介します。
放送の録画もあると思うのですが、みつかりませんでした。

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NHKブックス 仏像 心とかたち
著者 望月信成 佐和隆研 梅原猛
昭和40年4月20日 第一刷発行
発効 日本放送出版協会

 

目次
仏像のこころ
仏像の誕生ー釈迦如来像
  釈迦如来像に心を探る
現世利益の仏ー薬師如来像
  薬師如来像に心を探る
彼岸への憧憬ー阿弥陀如来像
  阿弥陀如来像に心を探る
絶対の探求ー大日如来像
  大日如来像に心を探る
変化の仏ー観音菩薩像
  観音菩薩に心を探る
路傍の仏ー地蔵菩薩
  地蔵菩薩に心を探る

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本書の冒頭「仏像のこころ」で、仏像を鑑賞する二つの方法を記していて、
本書の概論的内容と思われます。

仏像を鑑賞する第一の道
従来、仏像の鑑賞法には、大体二つの方法があった。一つは、いわば仏像を対象とした抒情詩をつづる方法である。われわれの人生において、われわれはしばしば人と出会うのである。われわれが人生の途上でふと出会った人がわらわれの一生を支配し、決定することがある。一生に何回かわれわれは、自己の運命を支配する人と出会うわけであるが、時とするとわれわれは仏とも運命的な出会いをすることがある。大正六年、和辻哲郎氏は、奈良の古寺の仏像の美に感動して「古寺巡礼」を書き、ヨーロッパ的教養で仏像を見る新しい仏像鑑賞の道を教えた。彼のその後の日本文化への関心が、その仏像との出会いによって決定されたであろうことは疑いない。そしてまた、昭和十二年亀井勝一郎氏は転向の罪に傷ついた心を抱いて、ふと訪れた中宮寺の弥勒菩薩の微笑に一切の罪を許す慈悲を見て「大和古寺風物詩」を書いた。

ー中略ー

このように仏像に対して、恋文にも似た賛美を送るより、仏像の表す客観的な思想の意味を知り、その仏像に表された思想とわれわれの魂とを格闘させたらどうか。高い調べの美しく悲痛な仏像に関する抒情詩をつづるかわりに、仏像の語る思想と真摯な哲学的対話をすることが必要ではないか。

 

仏像を鑑賞する第二の道
しかし、このようなロマン的というべき仏像の鑑賞法に対してむしろ実証的な仏像の鑑賞法がある。それは、仏像の様式論である。つまりこの仏像は、何々時代にできたか、この仏像はもとはどこにあったなどということを、克明な資料のもとづいて研究する方法なのである。日本の美術史学会の方向は、大体その方向であり、この方向にそって日本の美術史学は、発展してきたのであろうが、単なる形だけの美術史では、仏像は今のわれわれにほとんどなにも語りかけないのである。実際形の中に心がかくされているのである。仏像は何よりも仏教の像なのである。それゆえ、形は形だけで表されることはないのである。何気ない形の変化の中に、仏教思想の変化がかくされているのである。しかも仏教、一般的に宗教は、何よりも人間の心の問題なのである。それゆえ、形の変化の中に思想の変化が、思想の変化の中に心の変化がかくされているのである。

ー中略ー

形を形としてみるのは、いわば、精神に対する禁欲を命じる美学である。それはいわば、人間の精神のあり方にほとんど関心を示そうとしない、あるいは関心を示すことをあきらめた美学なのである。たしかに精神は物質のごとくつかみやすいものではない。仏像の形の中に心を探る試みは、生きた人間の表情と言葉の中にかくされた真実の心を探るより、難しいことかもしれない。しかし、もしわれわれが、形の背後にある心を探る試みをやめたら、到底生きた人間をつかむことげできないように、仏像の真の意味をもとらえることができないであろう。

 

次に、「彼岸への憧憬ー阿弥陀如来像」の中身・項目を記します。
阿弥陀如来は十万億土の西方に
阿弥陀如来の印は九種ある
阿弥陀像は丈六が基準になった
阿弥陀堂は二つの考え方からできていた
阿弥陀如来の来迎引接
来迎図の前で法悦にひたって息を引きとる念仏行者
二河白道図 迷いの凡夫

阿弥陀如来像に心を探る
現代人の無神論と阿弥陀信仰の受身性
阿弥陀の浄土と彼岸の思想は現代人に信じられるか
マガダ国の乱世の話、観経は一大ドラマだ
日想観、水想観など十三の観想
極楽浄土に行きたいと思う念仏行者の執念
九品の阿弥陀の印相の意味
阿弥陀信仰によって癒される絶望と不安など
坐像から立像への来迎のスピード・アップ
親鸞、この偉大な合理的浄土教の師
浄土不信の状況にある現代人

このような、細部にわたる解説が載っていて大変参考・勉強になる本だと思っています。

 

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