« 2017年12月 | トップページ | 2018年2月 »

2018.01.30

「本をめぐる美術、美術になった本-近代日本の装幀美本からブック・アートまで:1905-2004」

01

「本をめぐる美術、美術になった本-近代日本の装幀美本からブック・アートまで:1905-2004」は、
町田市民文学館 ことばらんどで開催されています。


会期 2018年1月20日(土)~3月18日(日)

本に纏わる思い入れが伝わってきます。
展示会場壁面に綴られた文面がその思いを伝えています。
頑張ってメモしてきました。
装幀そのものが美術品ですし、作者との関係が楽しく、興味が尽きません。
再訪したい展覧会です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

第一章 夏目漱石にはじまる美本の世界
此書を公にするに就いて、中村不折氏は数葉の挿絵を描いてくれた。
橋口五葉氏は表紙其他の模様を意匠してくれた。
両者のおかげに因って文章以外に一種の趣味を添へ得たるは余の深く徳とする所である。
夏目漱石「吾輩は猫である」序
06
(左)夏目漱石「四篇」 1910年  (右)二葉亭四迷訳「浮草」 1908年
装幀:ともに橋口五葉

漱石先生はその点で非常に気が楽だった。
「まかした以上相手を信頼する」と言うのが先生の信条だった。
津田青楓「装幀の話」

第二章 近代文学の成熟とともに ―多様化する装幀の世界
本屋の見世先で本を買った時、第一箱というものが邪魔なので、私は中味だけ持って本屋を出る。
ところが装幀がまだ気になる。
装幀が気になる第一は、材料の色と文様が生で、私の着物や持ち物と調和が取れない。
竹久夢二「装幀に就いての私の意見」


現下出版界に行われている装幀についての小生の意見は別にこれなく、只美しいと思う様なものにはめったにお目にかからず候。
夏目さんの自装のもの中々面白きものこれあり候。
徳川期の浄瑠璃正本其の他の表紙に、さすがに世界中に冠たる味を備えおり候。
岸田劉生「装幀に就いての私の意見」


私は自分の作品を単行本の形にして出したときに初めてほんとうの自分のもの、真に「創作」ができ上がったと言う気がする。
単に内容のみならず形式と体裁、例えば装幀、本文の紙質、活字の組方等、すべてが渾然と融合して一つの作品を成すのだと考えている。
谷崎潤一郎「装幀漫談」
04
谷崎潤一郎 「鍵」 1956年 装幀:棟方志功 町田市民文学館 ことばらんど蔵

私も多年書籍の装幀をやってきたが、一冊を装幀するごとに仮綴の本と大差のない、単純なものしか作れなくなって来た。
用紙の色を選定し、活字の大きさを指定する。
ただこのことだけで実に素晴らしい本ができるのではあるが、依頼者の方では究極の美が其処にあるとはどうしても思ってくれない。
東郷青児「装幀のこと」
05
コレット 「紫の恋」 1928年 装幀:東郷青児 個人蔵

07
橋田東聲 「無限の道」 1933年 装幀:川端龍子  個人蔵


09
小林秀雄著書 1931-1949年 装幀:青山二郎 町田市民文学館 ことばらんど蔵

12
加納光於、滝口修造 「煌文庫1 掌中破片」 1979年 うらわ美術館蔵


書物における装幀の趣味は絵画に於ける額縁や表装と同じく一つの明白な、芸術の「続き」ではないか。
萩原朔太郎「装幀の意義」


たしかに物も書いた。絵も描いた装幀もしてみた。が、それらは生活のためと言うより、あくまで趣味の問題で、一つの仕事をするたびに原稿料の数倍もの金がかかったであろう。
白洲正子「いまなぜ青山次郎なのか」

第三章 「詩集」と「詩画集」 ―近代詩を彩る絵画」
本は文明の旗だ、その旗は当然美しくあらねばならない。
美しくない旗は、旗の効用を無意味若しくは薄弱にする。
美しくない本は、その効用を減殺される。
即ち本である以上美しくなければ意味がない。
恩地孝四郎「本というもの」
10
吉田紘二郎著書1923-1935年 装幀:恩地孝四郎 個人蔵


第四章 町田市ゆかりの装幀家たち ―若林奮、赤瀬川源平、柄澤斎を中心に
03
柄澤斎 「Hours」 1992年 うらわ美術館蔵

11
若林奮 「7月の冷却と過熱 ミズキの一枝」 1986年 うらわ美術館蔵


第五章 美術になった本「本」なのか「美術作品なのか」 
02
福田尚代 「佇む人たち」 2004年 うらわ美術館蔵

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.27

国宝 雪松図と花鳥 - 美術館でバードウォッチング -

01

「国宝 雪松図と花鳥 - 美術館でバードウォッチング -」は、
三井記念美術館で開催されています。

会期 2017年12月9日(土)~2018年2月4日(日)

三井記念美術館新年恒例の「国宝 雪松図屏風」展示、今年は花鳥の(花鳥にまつわる)作品、花鳥図、茶道具、工芸品とともに展示しています。


05
国宝 雪松図屏風(右隻) 丸山応挙 六曲一隻 江戸時代 北三井家旧蔵
応挙の作品で国宝に指定されているのは”この屏風のみ”です。
三井家の注文により特別に制作されたものとされる。

展示室 3 の 茶室「如庵」展示ケース には、国宝の志野茶碗「銘卯花墻」が展示されています。
02
国宝 志野茶碗「銘卯花墻」 桃山時代 室町三井家 旧蔵

04
鳥類真写図巻 渡辺始」興 紙本着色 江戸時代 新町三井家旧蔵
本上46枚全長17m余りに全部で63種の鳥が描かれている。
各図には多くの書き込みがあるが、色や形など描くときの参考としてのコメントがほとんどである。
鳥類真写図巻は博物学を好んだ近衛家煕の影響下で制作されたものと考えられ、円山応挙などの後世の絵師に大きな影響を与えた。
(キャプションから)

03
蓬莱山・竹鶏図(三幅の中、左幅、右幅) 丸山応挙 江戸時代 北三井家旧蔵
松と鶏に楼閣山水の蓬莱山を中幅とし、左、右幅に竹と雌雄の鶏を描いている。
蓬莱山に鶏の組合せは珍しいが新春のおめでたい画題であることは想像できる。
(キャプションから)

名品ぞろいの展示品の中で、他に注目した作品は・・・・
小林古径の 「木菟図」

沈 南蘋の写実性に富んだ素晴らしい花鳥画。
北三井家に古くから伝来した沈 南蘋の11幅の作品から鳥が描かれた6幅を展示しています。
(円山応挙、伊藤若冲など江戸中期の画家に影響を与えたのも、うなずけますね)

東山御物として伝わった伝牧谿「蓮燕図」
江戸時代に数寄大名松平不昧の所持したもので昭和初期に三井家所蔵になった作品。
ハスの花托にとまるツバメを描いた”かれた”趣が素晴らしい。

・・・・等々です。
素晴らしい工芸品も!

HPの解説です。
国宝 雪松図屏風の新春公開にあわせ、館蔵品のなかから、今回は花鳥、なかでも「鳥」に焦点をあわせた展覧会です。鳥に関連した茶道具や工芸品、花や鳥が描かれた屏風や掛軸などを展示いたしますが、特に、渡辺始興筆「鳥類真写図巻」は、全長17m余りの長大な鳥類図巻で、近世の写生図を考える上でも重要な作品として知られています。今回はこの図巻の全図を一挙に展示いたします。

この鳥類真写図巻を収集したのは、新町三井家の三井高遂(たかなる)氏(1896~1986)ですが、高遂氏は、大正時代に東京帝国大学(現在の東京大学)の大学院で動物学(遺伝学)を修めました。小さいころからニワトリが好きで、大学での研究も鶏を研究し、卒業後の昭和8年には衣川氏との共著『家禽図鑑』を著しています。また昭和16年から亡くなるまで、全日本チャボ保存協会の会長を務められました。

このほか三井家では北三井家の7代高就(たかなり)(1786~1857)と9代高朗(たかあき)(1837~1894)が、鳥を趣味としており、特に高朗は亡くなったときに400羽以上の鳥を飼っていた記録があり、京都の博覧会に多くの飼鳥を出品した記録もあります。三井家は概して鳥好きの人が多かったようで、三井家の人が描いた鳥の絵も伝わっています。今回の展示は、三井家の鳥好きを反映した展示にもなっています。また、最近の新寄贈作品を3点紹介しますが、この中にも渡辺始興の花鳥画が含まれています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.24

民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの

Photo

写真歴史博物館 企画写真展 「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」は、
フジフイルム スクエアで開催されています。

会期 2018年1月4日(木)~2018年3月31日(土)

六本木方面に行ったときには、必ずフジフイルム スクエアを訪れます。
特に、写真歴史博物館 企画写真展では、質の高い作品を観ることができます。
ミニ展示場ですが充実しています。

21_21 DESIGN SIGHTの野生展の後に行ってのですが・・・・野生展と通底するものを感じて・・・・忘れかけていたものを「しみじみとした思い」で鑑賞してきました。 


今回の企画展は撮影可でしたので、スマホで撮りました。
 
01_2


02_2


03_2


04_2
供える
静岡県伊東市 新井神社 1995(平成7年)
祭りの日に、お神酒を三方にのせ、目より高く捧げて運ぶ。

05_2
三十三回忌 鹿児島県大島郡和泊町国頭(沖永良部島) 1957(昭和32)年
墓前に故人の子孫が集まり、賑やかに祝い歌をうたい「お前風」を踊る。今日より死者が先祖神になったことを喜ぶ。沖永良部島の儀式「ミンブチ}

06_2
田の神迎え
石川県鳳至郡能都町波並 1956(昭和29)年
田の神が座敷に入ると、家族そろって挨拶をする。長い間、土の中におられた苦労をねぎらい豊作を感謝する言葉を述べる。主婦は御馳走について、いちいち説明申し上げる。

08
嫁入り
福島県田村郡三春町 1960(昭和35)年
花嫁は仲人の介添えで婚家の縁側から座敷に上がってくる。敷居をまたぐ時さしかけられた笠が空に投げっられる。あとに戻らぬまじないである。座敷の内側では婚方の親戚が祝言の謡曲「高砂」をうたいだす。

09
一粒の種から
愛知県海部郡大地治村馬島 1956(昭和31)年
稲は一粒の種から生まれてくる。春の種まきの日に、握りしめた拳の間から種もみは水苗代にまかれ、静かに沈んでいく。その時誰もが田の神に、稲霊のよみがえりを祈る。

HPの解説です。
約60年以上にわたって日本のみならず世界各地のさまざまな祭礼を撮り続けてきた芳賀日出男は、民俗に対する独自の哲学に裏打ちされたその写真によって、単なる記録写真にとどまらない「民俗写真」の地位を確立した写真家です。
 芳賀日出男は、1921年、満州の大連(現・中国大連市)に生まれました。大学受験のために初めて踏んだ母国の地で、その豊かな季節感に衝撃を受けます。まさに春を迎えんとする季節の中、ぬるんでいく陽気につれて、梅や桜の蕾が開花していく美しい様は、若い芳賀の感性を大きく揺さぶるにふさわしいものでした。
 その後、進学した慶應義塾大学で、カメラ好きの父親の元で小学生の頃から写真を撮り続けていた芳賀は、カメラクラブに入り写真にのめりこんでいきます。もっぱら、勉学より写真に精力を傾けた芳賀でしたが、折口信夫の講義は民俗学に開眼する契機となり、後の芳賀に大きな影響を与えることになりました。
 卒業後は、日本の年中行事を中心に撮影を続け、1959年には丹念に稲作行事を追った『田の神』を出版。以後も精力的に各地の習俗を撮り続け、当初はなかなか認知されなかった民俗写真の第一人者として、1970年の大阪万国博覧会では<お祭り広場>のプロデューサーにも任命されました。
 本展「民俗写真の巨匠 芳賀日出男 伝えるべきもの、守るべきもの」では、これまで撮影された40万点にものぼる作品から、芳賀日出男の原点ともいえる稲作儀礼を中心とした祭礼と人生儀礼をテーマにした約30点を展示します。「季節に合わせて祈るという心豊かな宗教的風土をもっているのが日本人だ。(中略)文明がもたらす利益は多々あるが、失ったものも多いことに気づいていただきたい。そのひとつが祭礼だろうと思う。祭礼には民の願いや叫び、報謝が籠められているものが多い。」(芳賀日出男『写真民俗学』、KADOKAWA、2017年)あらゆる場所に宿る神々と共に生き、日々の恵みに感謝を捧げてきた日本の祭礼を確かな眼差しでとらえた芳賀の作品は、私たちが生きている「今」という時間を紡いでくれた古(いにしえ)からの長い時間の連なりに思いを馳せるとともに、豊かな美しい自然の恵みに改めて畏敬の念を起こさせてくれます。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2018.01.22

「野生展:飼いならされない感覚と思考」

Photo


「野生展:飼いならされない感覚と思考」は、
21_21 DESIGN SIGHTで開催されています。


会期 2017年10月20日(金)~ 2018年2月4日(日)

この展覧会のディレクター、中沢新一氏のメッセージ

「人間みんなが同じ世界に生き、同じような体験をして、夜見る夢も同じようになっていく現代に、まだ管理され尽くしていない、まだ飼いならされていない心の領域が、どこかに生き残っている。私たちはそれを「野生の領域」と呼ぶことにした。

この「野生の領域」に触れることができなければ、どんな分野でも新しい発見や創造は不可能だ。

どうやったら、私たちは心の中の「野生の領域」に触れることができるか、どうしたらそこへの通路を開くことができるか。生活と仕事の中でこの「野生の領域」への通路を開く鍵を発見することが、「野生展」のテーマである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

丸石信仰(自然信仰)から始まり、南方熊楠の思考方法における「野生発見方法の着想」。
「野生の依り代」としての土偶、埴輪など・・・
野生の化身としてのかわいい玩具など。
さらに、芸術における研究やインスピレーションのフィールドを「野」ととらえ、大地に根付いた思考、信仰などから生まれた、仮面、人形、映像などを展示しています。

(南方熊楠の思考、方法論を上手く解説していました)
実践的な科学者であった熊楠は、世界の真実のありさまは「因果関係」のような狭いデータ処理方法ではとらえることができないことを体験でよく知っていました。熊楠は科学者であると同時に、仏教思想にも深い知識と理解を持っていましたから、「因果」の論理を超える「縁起」のネットワークによって、はじめて世界の実相はわかると考えました。そしてこの「縁起」の超論理を土台に据えた新しい科学方法論を構想したのです。


展覧会の構成は次の通りです。
野生への入り口
脳の中の森 - 南方熊楠の発見方法
「かわいい」の考古学:野生の化身たち
野(の)をひらく鍵


展示風景です。
01


02


03


04


05

06


07


この展覧会は一部の展示品を除いて撮影可です。(条件あり)
以下にまとめてみました。


HPの解説です。
21_21 DESIGN SIGHTでは、2017年10月20日より企画展「野生展:飼いならされない感覚と思考」を開催します。展覧会ディレクターには、思想家で人類学者の中沢新一を迎えます。中沢は、各地のフィールドワークを通じて、時代や領域を横断し、学問の垣根を超えた研究を行ってきました。

人間の文化と生活には、心の土台となる「野生」の能力が欠かせません。私たちのもつ本能であり、知性でもある野生は、創造力に大きな刺激を与えるきっかけになります。たとえば、明治時代の日本が生んだ大博物学者、南方熊楠(みなかたくまぐす)は、偶然の域を超えた発見や発明、的中(てきちゅう)を「やりあて」と呼び、それを繰り返すことで、粘菌学の領域をはじめ神話学や民俗学にも優れた足跡を残しています。熊楠のような思考の跳躍は、ものづくりや表現の歴史においても、度々その例を見いだすことができます。

理性や合理性ばかりが前面にあらわれる現代においても、野生の感覚と思考は、いまだ失われていません。中沢は、「私たち人間の内に潜み、『まだ飼いならされていない心の領域』こそが、今まさに大切になってきている『野生』のすみかである」と言います。

現代における野生とはなにか。自身の内に潜む野生をどのように見いだすのか。見たことのない物事の意味をどのように理解し、表現するのか。本展では、現代の表現者たちのもつ野生の魅力に着目し、さまざまな作品や資料を通して、その力を発動させるための「野生の発見方法」を紐解いていきます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.18

生誕100年 ユージン・スミス写真展

Photo


生誕100年 ユージン・スミス写真展は、
東京都写真美術館で開催されています。

会期 2017年11月25日(土)~2018年1月28日(日)


「写真は、せいぜい小さな声に過ぎないが、ときたま ― ほんの時たま ― 1枚の写真あるいは1組の写真が我々の意識を呼び覚ますことができる。
私は写真を信じている。
もし十分に熟成されていれば、写真は、ときにはものを言う。
それが私 ― そしてアイリーン ― が水俣で写真を撮る理由である」
09
水俣問題の中央公害審査委員会 東京1973年頃
© Aileen M. Smith
ユージン・スミスというと、やはり水俣に取材した写真でしょうか、日本人にとっては・・・
ユージン・スミスは、日本に特別な思い入れがあるようです。
若き日の日本人写真家との出会い、第二次世界大戦の沖縄、そして水俣・・・・・
ライフ誌で手掛けた、多くのフォトエッセイから続くユージン・スミスの仕事を150点の作品で概観しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「私がねらっていたのは、それを見た人々には”これが戦争なのだ”と言ってもらえる。
戦争に行ったことのある人には”私が正しく彼らの体験を捉えている”と思ってもらえるひと組の写真だった。
私は、戦争は悲惨だと言う捉え方で仕事をしてきた。
これらの写真で試みてきた事を私はこれからも続けていきたい。
戦争は、この世の縮図であり、様々な事柄が、ごまかしようもなく鮮明に現れる。
人種的偏見・貧困・憎悪・偏狭は平時の生活のうちにも蔓延するが、戦争の中でほど否応なくはっきりとは捉えられない。
02
発煙手榴弾で追い立てられる民間日本人 サイパン 1944年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

「私は今なお真実を必死に追い求めている。
いかにしてピクチャーストーリーを仕上げるかと言う答えを見出そうと努めている。
ほとんどの作品は、写真に絵画的、編集的一貫性を持たせるため、ある程度の演出・再構成・ト書きを必要とする。
とは言え写真をよりドラマチックにし商業的価値を高めると言うだけの理由でこうした細工を施すのは現実の歪曲につながる。
私は私自身のやり方に固執する。それが正当性を持つ限りにおいてではあるが」


展覧会の構成は以下の通りです。
1. 初期作品
2. 太平洋戦争
3. カントリー・ドクター
4. イギリス
5. スペインの村
6. 助産師モード
7. 化学の君臨
8. 季節農場労働
9. 慈悲の人
10. ピッツバーグ
11. ロフトの暮らし
12. 日立
13. 水俣

01
ウォーターライドのカップル ニューヨーク郊外 1941年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

03
馬に蹴られて負傷した少女緊急処置をほどこす デンヴァー郊外 1948年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

04
三世代の炭鉱労働者 ウェールズ 1950年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

05
ゴーグルをはめた鉄鋼労働者 ピッツバーグ 1955年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

06
通夜 スペイン 1950年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

07
建設現場のシュヴァイツァー ガボン 1954年
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

08
巨大な鉄製暗渠の検査 日立 1961年頃
© 2017 The Heirs of W. Eugene Smith

HPの解説。
W.ユージン・スミス(1918-1978)は、写真史上、もっとも偉大なドキュメンタリー写真家のひとりです。グラフ雑誌『ライフ』を中心に「カントリー・ドクター」、「スペインの村」、「助産師モード」、「慈悲の人」など数多くの優れたフォト・エッセイを発表し、フォト・ジャーナリズムの歴史に多大な功績を残しました。
とりわけ日本とのかかわりが深く、17歳のときニューヨークで偶然であった日系写真家の作品につよい感銘をうけ写真の道を志すきっかけになったこと、太平洋戦争に従軍して、戦争の悲惨で冷酷な現実をカメラで世に伝えんとして自らも沖縄戦で重傷を負ったこと、戦後の日本経済復興の象徴ともいえる巨大企業を取材した「日立」、その経済復興の過程で生じた公害汚染に苦しむ「水俣」の漁民たちによりそった取材などがあります。
本展覧会は、生誕100年を回顧するもので、スミス自身が生前にネガ、作品保管を寄託したアリゾナ大学クリエイティヴ写真センターによる協力のもと、同館所蔵の貴重なヴィンテージ・プリント作品を150点展示します。情報あふれる現代社会に生きる私たちにとって、ジャーナリズムの原点をいま一度見つめ直すきっかけになることでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.16

色絵 Japan CUTE !

Photo


「色絵 Japan CUTE !」展は、
出光美術館で開催されています。


会期 2018年1月12日(金)~3月25日(日)

展示会場の冒頭で、色絵の器を、寿ぎのモチーフ・季節のモチーフ(春・夏・秋)に分けて紹介し
次のコーナーでは小袖の摸様、文学の景色を反映した器
さらに、西欧を魅了した柿右衛門・古伊万里と、模倣(応用)して作られたウースター窯、チェルシー窯などの作品を並置して分かり訳す解説しています。

後半では、丸文・多角形・などの器形・摸様に分類して
また、青と緑・赤の色彩の組み合わせと、花模様の数々を表した器

最終章では、茶会に用いられる多様な器が展示されています。(輸出用のものも含めて)

江戸時代前期から、明治、昭和(展示数は少ないですが)までの色絵を施した器を分かり易く解説した展覧会になっています。

柿右衛門、鍋島、乾山、仁清の作品が、やはり印象に残りました。
色絵の器の中で、これらの作品の位置づけを再確認するのにも役立つ展覧会だと思いました。

展覧会に構成は以下の通りです。
第1章 季節を祝う、慶びを贈る
第2章 ファッションと文学
第3章 Japan CUTE、世界を駆ける
第4章 かたち・色 百花繚乱
第5章 色彩茶会(カラフル・ティーパーティ)

01
色絵七福神文酒器 古伊万里 江戸時代中期
欧州へ輸出された古伊万里の酒器。
七福神や美しい飾りがついていて、欧州に美しい色絵への憧憬を掻き立てた。

02
色絵花鳥文大皿 古伊万里 江戸時代中期 出光美術館蔵

03
色絵紅葉文壺 尾形乾山 江戸時代中期 出光美術館蔵
小さな壺をあざやかな緑色で塗りこめ、その上に星のような形に抽象化した紅葉文を、型紙摺であらわしています。紅葉文の中央は赤・青・黄・黒といったさまざまな色彩で飾られ、素朴な筆づかい
とあいまって、にぎやかな可愛らしい器になっています。(キャプションを引用しました)

04
色絵梅菊文水注・ティーカップ ドイツ・マイセン窯 18世紀 出光美術館蔵

05
色絵菊花文鉢 江戸時代前期 出光美術館蔵

06
色絵花鳥流水紋蓋者 柿右衛門 江戸時代前期 出光美術館蔵
白くなめらかな白磁に流水文が彫られ、その波間に浮かぶように藍・赤・緑の菊花が漂っています。流水文は流麗な線をみせ、白い陰影の効果は、浮世絵の「空摺を連想させます。清明な色彩にもまして、柿右衛門色絵の見どころといえるのが、乳白色の白磁の美しさです。(キャプションを引用しました)

07
色絵熨斗文茶碗 野々村仁清 江戸時代前期 出光美術館蔵
ゆったりとした椀形の茶碗に金彩で縁取りをした赤・藍・水色の熨斗がめぐっています。熨斗文は祝儀に用いる吉祥意匠で、友禅染などにも使われました。椀をめぐる熨斗の動きはよどみなく明るく澄んだ色調、ほつれた根元おの部分を表あらわす表す繊細な金彩など茶席においてどの角度から見ても美しく人々を魅了したことでしょう。
(キャプションを引用しました)


HPの解説。
色絵は、古九谷・柿右衛門・鍋島といった磁器や、野々村仁清(ののむら にんせい)・尾形乾山(おがた けんざん)の京焼に代表される、江戸時代に花開いたカラフルなやきものです。
将軍家や御三家への贈物として、佐賀・鍋島藩で作られた特別なうつわ〈鍋島〉に宿るのは、こまやかな季節の移ろいに心を寄せ、上巳(じょうし 雛祭)や七夕(しちせき)といった「五節句」に季節を祝う、日本人の繊細な季節感です。小袖意匠をアレンジした〈古九谷〉には、流行に敏感で、時に大胆なデザインを生活に取り入れる、斬新なファッション性がみられます。
仁清や乾山の京焼を飾る和歌・能の意匠は、豊かな文学の伝統を、遊戯性あふれる宴のうつわに仕立てたもの。そして欧州の王侯貴族など、世界を魅了した〈柿右衛門〉〈古伊万里〉は、カラフルで楽しい日本デザインに、国境を越えて人々を幸せにする、普遍的な魅力があることを物語っています。
色絵は、狭義には釉薬(ゆうやく)をかけて焼いてから、色絵具で絵付けをしたやきものです。しかしこの展覧会では「色絵」をより広く、カラフルな色彩の美を楽しむやきものとしてご紹介いたします。日本文化の多彩な特性を映し出す、絢爛として愛らしい色絵の世界を、どうぞお楽しみください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.12

北斎とジャポニスム―HOKUSAIが西洋に与えた衝撃

Photo

「北斎とジャポニスム―HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」展は、
国立西洋美術館で開催されています。

会期 2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)


北斎が如何にして西欧に伝えられ、浸透していったかの検証をプロローグとして、人物、動物、植物、風景、富士の各モチーフに分けて「モネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをふくめた西洋の名作約220点と、北斎の錦絵約40点、版本約70点の計約110点(出品点数は予定、会期中展示替えあり)を比較しながら展示します。(HPから)」・・・・展示しています。
単品だけでなく、富嶽三十六景などににみられる連作をセザンヌのサント=ビクトワール山の複数の作品に見たり。
さらに平面作品、彫刻、工芸等々の様々な作品に多大な影響を与えたことが分かります。

北斎が西欧に与えた衝撃と影響の拡がりにも驚き!
あらためて画狂北斎は凄いと・・・・

展覧会の構成は以下の通り。
第1章北斎の浸透
第2章北斎と人物
第3章北斎と動物
第4章北斎と植物
第5章北斎と風景
第6章北斎と富士


01
ポール・セザンヌ 《サント=ヴィクトワール山》 1886-87年 油彩、カンヴァス
フィリップス・コレクション、ワシントンD.C. 

02
葛飾北斎 《冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二》 天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵 
オーストリア応用美術館、ウィーン 


03
エドガー・ドガ 《踊り子たち、ピンクと緑》 1894年 パステル、紙(ボード裏 打) 66 x 47cm 
吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)

04
葛飾北斎 『北斎漫画』十一編(部分) 刊年不詳 浦上蒼穹堂

05
メアリー・カサット 《青い肘掛け椅子に座る少女》 1878年 油彩、カンヴァス 
ワシントン・ナショナル・ギャラリー 

06
葛飾北斎 『北斎漫画』初編(部分) 文化11(1814)年 浦上蒼穹堂

07
ポール・ゴーガン 《三匹の子犬のいる静物》 1888年 油彩、板 
ニューヨーク近代美術館 

08
葛飾北斎 『三体画譜』(部分) 文化13(1816)年 
浦上蒼穹堂

09
フィンセント・ファン・ゴッホ 《ばら》 1889年 油彩、カンヴァス 
国立西洋美術館(松方コレクション)

10
葛飾北斎 《牡丹に蝶》 天保2-4年(1831-33)頃 横大判錦絵 
ミネアポリス美術館 

11
クロード・モネ  《陽を浴びるポプラ並木》 1891年 油彩、カンヴァス 
国立西洋美術館(松方コレクション)

12
葛飾北斎  《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》 天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵 
ミネアポリス美術館 

12_2
カミーユ・クローデル《波》 1897-1903年 オニキス、ブロンズ
ロダン美術館、パリ

13
葛飾北斎  《冨嶽三十六景 神奈川県沖浪裏 天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵
ミネアポリス美術館 


HPの解説。
19世紀後半、日本の美術が、西洋で新しい表現を求める芸術家たちを魅了し、“ジャポニスム”という現象が生まれました。なかでも最も注目されたのが、天才浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)。その影響は、モネやドガら印象派の画家をはじめとして欧米の全域にわたり、絵画、版画、彫刻、ポスター、装飾工芸などあらゆる分野に及びました。
本展は西洋近代芸術の展開を“北斎とジャポニスム”という観点から編み直す、日本発・世界初の展覧会です。国内外の美術館や個人コレクターが所蔵するモネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをふくめた西洋の名作約220点と、北斎の錦絵約40点、版本約70点の計約110点(出品点数は予定、会期中展示替えあり)を比較しながら展示します。北斎という異文化との出会いによって生み出された西洋美術の傑作の数々を堪能しながら、西洋の芸術家の眼を通して北斎の新たな魅力も感じていただけることでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.09

レアンドロ・エルリッヒ展

Photo

「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」は、
森美術館で開催されています。

会期 2017年11月18日(土)~ 2018年4月1日(日)

この展覧会は、二人以上で行くと、さらに楽しむことできますよ ・・・・と思いました。

老若男女、洋の東西を問わず誰でも楽しめます。
場所柄もあるのでしょう、友達同士、家族ずれ、外国の方が入り混じって作品を(作品に入り込んで)楽しんでいました。

この仕掛け、どうなってるんだろう・・・なんていう見方も楽しいです。


本展HPの解説です。
レアンドロ・エルリッヒは、国際的に活躍するアルゼンチン出身の現代アーティストで、日本では金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》の作家としても知られています。
大型のインスタレーションから映像まで、エルリッヒの作品は視覚的な錯覚や音の効果を用いて、わたしたちの常識に揺さぶりをかけます。一見どこにでもある見慣れた風景ですが、よく見ると、水がないのに舟が浮かんでいたり、人々がさまざまなポーズで壁に張り付いていたりと、その異様な光景に観客は驚きと違和感を覚えることでしょう。自分が見ていることは果たして現実なのか、という疑いを抱くとともに、いかに無意識のうちに習慣にとらわれて物事を見ているか、という事実に気付くのです。
本展は、エルリッヒの四半世紀にわたる活動の全容を紹介する、世界でも過去最大規模の個展です。新作を含む44点の作品を紹介し、その8割が日本初公開となります。作品を通してわたしたちは、見るという行為の曖昧さを自覚し、惰性や習慣、既成概念や常識などを取り払い、曇りのない目で物事を「見る」ことで、新しい世界が立ち現われてくることを、身をもって体験することになるでしょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この展覧会は写真撮影可です。(条件あり)
動画も撮れますが1分以内で、ということです。
以下にスマホで撮った写真で作品の一部を紹介します。

Cc_2
作家名:レアンドロ・エルリッヒ
この写真/動画は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。

02
《反射する港》
水に浮かぶ船に見えますが、コンピューターで揺れを表現(コントロール)しています。

03
《雲》
国や島の形をした雲が白色セラミックインクで表現されています。(一定の間隔のガラスの層で表現)

05
《教室》
手前の部屋に入った観客の姿はガラスに映り込み、奥の部屋の中で亡霊のように現れる。

04
《試着室》
鏡の迷路・・・・おっかなびっくり、出口に向かう!

01
《建物》
一番人気の作品です。
順番待ちができます。

”まとめ”です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.04

博物館に初もうで 2018年

2018

「博物館に初もうで」は東京国立博物館で開催されています。

会期 2018年1月2日(火) ~ 2018年1月28日(日)

年々この企画への観覧客が増加傾向にあるようで、3日も混んでいました。
ゆっくり観ることができないな~なんて思いました。

今年は戌年です。
本館 特別1室・特別2室で「犬と迎える新年」が開催されていて、皆さん可愛いワンちゃんを写真に撮っていました。

一番人気は、円山応挙筆「朝顔狗子図杉戸」ですかね~
「かわいい~」と皆さん・・・・・
03

01
朝顔狗子図杉戸 円山応挙筆 江戸時代・天明4年(1784)

隣のこちらの作品も・・・
01_2
狗子図 1幅 円山応瑞筆 江戸時代・18世紀

毎年定番のイベント、獅子舞と和太鼓演奏が行われていました。(2日、3日開催)
獅子に頭を噛んでもらおうとする人々の行列。
そして、大黒様に小槌で頭をたたいてもらう人々。
大賑わいです。
01_3

18


その他、コンサートなどのイベントが盛りだくさんでした。


生け花も毎年人気です。
正月ですね~
201801


今年(新春)の国宝展示室展示作品は「国宝 釈迦金棺出現図」です。
素晴らしい作品です。
(人垣が絶えなかった去年までの長谷川等伯「松林図屏風」ではありませんでした)、
2018_2
国宝 釈迦金棺出現図 平安時代・11世紀 京都国立博物館蔵

釈迦が、入滅後に駆けつけた母のため、神通力でお棺から起き上がって説法をしたという劇的な場面を描きます。

28日までですから、もう一度ゆっくり・・・と思っていますが・・・


HPの紹介文から・・・
新年の「ワンシーン」をトーハクで。

新年恒例となる「博物館に初もうで」も、今年で15年目を迎えます。
トーハクでは、干支の戌にちなんだ特集や国宝「古今和歌集(元永本) 下帖」や重要文化財「鳥獣戯画断簡」をはじめとする名品の新春特別公開、また吉祥をテーマにした作品など、お正月らしい作品の数々で皆さまをお迎えします。また、和太鼓や獅子舞などの伝統芸能もお楽しみいただけます。
一年のスタートにぜひトーハクへお越しください!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.01.01

新年のご挨拶

30

旧年中は大変お世話になり有難うございました。
本年もよろしくお願いいたします。

今年も、あちらこちらにうろついて、感想を投稿しようと思っています。
退屈でしょうがない・・・・なんて思う時がもしあったらアクセスしてみて下さい。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2017年12月 | トップページ | 2018年2月 »