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2017.04.28

六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝

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六本木開館10周年記念展 絵巻マニア列伝は、
サントリー美術館で開催されています。
会期 2017年3月29日(水)~5月14日(日)
※作品保護のため、会期中展示替をおこないます。

絵巻の名称をタイトルに冠した企画展は、過去に沢山ありました。
長い行列に並んで鑑賞というのも度々です。

さて、この企画展のコメントに、
「今までにない絵巻展をぜひお楽しみください。」とあります。
《絵巻マニア》とでも呼ぶべき愛好者たちに注目し、鑑賞記録などをたどりながら、その熱烈な絵巻享受の様相を探る・・・・ということで、各章のタイトルはそのマニアの方々です。
古文書と素晴らしい、楽しい絵巻で歴史的背景と社会、マニアの置かれた立場を探ります。

展覧会の構成は以下の通りです。
序章 後白河院
後白河院は蓮華王院に設けた宝蔵に多様な宝物を秘蔵していました。
「病草紙断簡 不眠の女」もかつて蓮華王院に収められていた六道絵のうち、病に苦しむ人道の苦悩を表したものと理解されています。
7
《 病草紙断簡 不眠の女》 一幅 平安時代 12世紀
サントリー美術館
(釈文)
山との国、葛木下郡に
片岡という所に女あり。取り立てて
痛むところなけれども、夜になれ
ども、寝いらるることなし、夜もすがら起
きて「何よりも侘しきことなり」とぞ言ひける。

第1章 花園院
伏見院と花園天皇父子の周辺で絵画制作したのが絵所預・高階隆兼です。
平安時代以来の絵画伝統を継承し、さらに昇華させた高階隆兼の様式は、もうひとつつの絵巻黄金期を生み出しました。
2
《春日権現権記絵》 巻九(部分) 高階隆兼 鎌倉時代 延慶2年(1309)頃
宮内庁三の丸尚蔵館
(あらすじ)
東山の寺で説教を聞いた貧しい女は、わが子を南都の興福寺に入れると決意
「出家する子は宝」と、貧しい中、輿を雇い、母親も徒歩で続く
興福寺喜多院の空晴僧都に入門する息子(八歳)
三年後、母危篤の知らせを聞き、病床に駆け付ける少年
出家姿を見たいと願う母の為、剃髪する息子
やがて母は亡くなり、まだ幼い息子はただ泣くばかりだった
死者が一度は行くという閻魔王庁に辿り着く母
すると目の前に高貴な童子(春日大明神)が現れ、閻魔王も拝礼した
童子の宣託により、母親蘇生の命が下される
三日後に蘇生し、春日大明神に救われた次第を語る母
数年後、母は病で亡くなったが、息子は母の弔いに朝夕「法華経」を読誦した

第2章 後崇光院・後花園院 父子
後崇光院の皇子・後花園天皇もまた、絵巻を召し出し鑑賞したり、親子の間で絵巻を貸借していた様子が後崇光院の日記「看聞日記」から見て取れます。
例えば興福寺大乗院で重宝とされていた《玄奘三蔵絵》も、都に運ばれ、後花園天皇の被見の後、父・後崇光院へと貸し出されています。
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国宝《玄奘三蔵絵》 巻四(部分) 鎌倉時代 14世紀 
藤田美術館 4/24まで展示
(あらすじ)
仏頂骨城で釈迦の頂骨を拝する玄奘
龍窟で礼拝を続けると仏の姿が浮かび上がる
南の山には、釈迦投身の遺跡があった
灯光城の龍窟に向かう
阿波羅龍泉で仏足石を見る
投身飼虎の地へたどり着く


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《放屁合戦絵巻》 一巻(部分) 室町時代 文安6年(1449)
サントリー美術館

第3章 三条西実隆
室町時代後期を代表する学者公卿・三条西実隆は長期にわたる日記「実隆公記」を残しました。
実隆の絵巻愛好は、古画・名作の鑑賞にとどまりません。当代一流の文化人であった実隆は、詞書の清書や:物語の草稿執筆など多くの絵巻新作に関与し、晩年の《桑実寺縁起絵巻》制作では、チーフプロヂューサーの役割を担っていました。
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重要文化財《桑実寺縁起絵巻》 土佐光茂画 巻上(部分) 室町時代 天文元年(1532) 
滋賀・桑實寺
(あらすじ)
海上に生えた桑の巨木から実が落ち、桑実山となった
やがてそこに、薬師如来を本尊に祀って建てられたのが桑實寺である
天智天皇の皇女阿閇姫、病床で琵琶湖が光輝く夢を見る
和尚、薬師如来出現の瑞相と告げる
天智天皇、光の射すところに寺を建立
天皇、定恵和尚に命じて法会を営ませる
湖上の奇瑞を拝む人々
湖上より薬師如来が現れる
薬師如来の光明が阿閇姫に届き、姫の病が平癒する


第4章 足利将軍家
第2章と第3章に挙げた公家の絵巻マニアたちと同時代に、時に競い、時に強調しながら熱中した、武家の絵巻愛好の様相をご紹介。


終章 松平定信
古画に関心の深かった定信は「集古十種」の続編とも言われる故実の図譜「古画類聚」の制作にも着手します古画と題しながらも、素材となった作品の大半は150点に近い絵巻です古文化財の調査・整理・分類だけでなく、絵巻の模写・修復・補作事業に尽力する気概は、彼の絵巻愛なくして語れないでしょう。


HPの解説です。
 文学と美術を融合させた「絵巻」は、日本で隆盛をみた芸術様式です。
現代人にとって絵巻といえば、美術館や博物館でガラス越しに出会うことが多いのではないでしょうか。しかし絵巻は本来、鑑賞者が実際に手にとって楽しむものであり、中世以来日本人は、その掌中で展開する絵物語に魅了されつづけてきました。
本展では、後白河院(ごしらかわいん)や花園院(はなぞのいん)、後崇光院(ごすこういん)、三条西実隆(さんじょうにしさねたか)、そして足利歴代将軍など《絵巻マニア》とでも呼ぶべき愛好者たちに注目し、鑑賞記録などをたどりながら、その熱烈な絵巻享受の様相を探ります。
マニアたちの絵巻愛は、鑑賞や蒐集だけにとどまりません。彼らの熱意は同時代の美術を牽引し、新たな潮流を生み出すエネルギーとなりました。有力パトロンでもあった絵巻マニアたちの姿を追うことで、知られざる絵巻制作の実態と背景もご紹介します。
絵巻マニアたちはそれぞれ個性に満ちています。この展覧会では、その列伝をお楽しみいただくとともに、歴代のマニアを俯瞰することで見えてくる、繰り返される絵巻の憧憬と再生の歴史を描き出します。かつて誰かが確かに愛した絵巻の名品が一堂に揃う本展は、絵巻マニアたちの狂おしいほどの情熱を追体験できる貴重な機会となるでしょう。今までにない絵巻展をぜひお楽しみください。

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