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2009.10.04

生誕100年 小野忠重展―昭和の自画像―

Onoblog

今年も10月になりました。
年賀ハガキが売り出される季節になってしまいました。
早いですね。
この展覧会、私にとって、今年の印象に残った展覧会のトップ10に入ると思います。
町田市立国際版画美術館で11月23日まで開催されています。

小野忠重(1909-90)は高校生の時から絵画、そして版画の制作を始めます。
演劇、文学にも傾倒し、食事以外は読書三昧、そして人生を通して版画の研究、制作を続けました。
戦前は出版社を作ったりもします。
数十冊に及ぶ版画に関する著作もあり、東京藝大の非常勤講師も努めました。
プロレタリア芸術運動にも参加したことのある氏の社会性を帯びた作品には、ケーテ・コルビッツの作品を想起したりして拝見しました。
氏の描く世界は炭鉱であり、漁、酒場であり、親子、家庭の祈りであったりします。
描く風景にも切なる思いが込められているようです。

氏の目指した「版画の絵画性追及」は見事に結実しています。
ルオーを作品を思わせる太い輪郭線と、独特のマチエール、そして到達点としての陰刻法による重厚な画面は見あきません。
この作品群は、印刷物では再現できない、実作で鑑賞するしかありません。
図録は買いませんでした。
この微妙な、深みのある画面は、印刷では難しい。
でも、内容は充実しています。
買ってて損はない....。

代表作約130点と、、の著書や資料などを展示する大規模な回顧展です。
氏と関係の深かった版画家の作品約40点の展示コーナーもあります。

充実した常設展示も含めて、三時間以上たっぷり楽しんできました。

時間が許せばもう一度観にいきたいと思っています。

以下はチラシから。

Ono1syougun
将軍(妄想)

Ono1sen
蘇苔

Ono1koou
工場

Ono1tori
とり

Blog
広場の子 ヴェネチア

Ono1domu
廣島の川

Blog_2

この作品、素晴らしいですよ。



以下にHPから解説文を引用させて頂きます。
 

小野忠重(1909-90)の作品には人間社会のドラマがあり、詩情がただよっています。しかしその表現は、情緒的であるとはいえません。それは、小野が庶民の感情や実生活を冷静に見つめ、社会の現実感を絵に表しているからです。
 さらに小野は、そうした作品のなかに、自分の内にそなわる庶民感覚やロマンティシズム、さらに社会批判の眼や狂気までも表しています。昭和をまるごと生きた小野の眼から生まれたこうした作品は、まさしく普遍的な意味での昭和の自画像といえるでしょう。
 一方、小野は戦前より版画史の研究に着手し、戦後になってさらに本格に取り組むようになります。埋もれていた江戸や明治、中国などの版画資料を発掘して著した本や、日本の近代版画史に関する多くの著作は資料的価値が高く、今でも定評があります。
 2009年は小野忠重の生誕100年にあたります。これを記念して、小野の代表作約130点に加えて、小野と関係の深かった版画家の作品約40点、そのほかに小野の著書や資料などを展示する大規模な回顧展を開催します。この機会に、ぜひ、版画作品を中心とした小野忠重の仕事をご覧下さい。そして、昭和という時代を回顧してみて下さい。


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