2018.04.24

至上の印象派展 ビュールレ・コレクション

至上の印象派展 ビュールレ・コレクションは、
国立新美術館で開催されています。

会期 2018年2月14日(水)~5月7日(月)

会期も後半に入って、曜日・時間帯によっては入場待ちが発生しているようです。
私は始まってまもない時に行ってきたので、じっくり見ることができましたが・・・投稿が遅れてしまいました。

チラシに「絵画史上最強の美少女」とあるからでしょう・・・ルノワールのダンヴェール嬢の前に鑑賞者が集中します。
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ピエール=オーギュスト・ルノワール 《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》
1880年 油彩、カンヴァス

ダンヴェール嬢も勿論魅力的な作品ですが、
「6章ポール・セザンヌ」「7章 フィンセント・ファン・ゴッホ」では、数点の作品で画家の生涯とその描き方の傾向を分かり易く見せてくれるています。
とても良い展示だと思いました。

ビュールレのコレクターとしての意図が伝わってきます。

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「7章 フィンセント・ファン・ゴッホ」の概要です。

ファン・ゴッホは伯父が経営に関わっていた美術商のグービル商会に就職しハーグ・ロンドン・パリの各支店に赴任しましたが、勤務態度態度を理由に解雇されてしまいます。
オランダに戻って伝道師を志しますが失敗してしまいます。
画家として生きていくことを決めたのは1880年でした。りょうsn01
フィンセント・ファン・ゴッホ 《古い塔 》 1884年 油彩、カンヴァス
ハーグから戻ったゴッホは両親の住むニューネンに移り住み2年を過ごします。
農民の墓地や十字架と何世紀もの時間を刻んだ塔は、ニューネンでの暮らしの中で絶えずファンゴッホの心を捉えていました。


1885年3月26日、父のテオドロスが急死すると、周りの人々との関係も悪化し、ファンゴッホはニューネンを去ることを決意する。
ベルギーに向かうが、ベルギーでの生活も長くは続かず、2886年弟テオのいるパリに移った。パリでの生活が2年目を迎えた頃に描かれた作品。
ファン・ゴッホが色彩へのあなたなアプローチを試みたことがうかがえる。
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フィンセント・ファン・ゴッホ 《自画像》 1887年 油彩、カンヴァス 

1886年にパリに出るとファンゴッホは、ニューネン時代にテオから話を聞いていた印象派の絵画を実際に目にする機会に恵まれた。そして印象派の画家などと同様に戸外での制作に取り組むようになった。
パリ郊外のアニエルに足を運び日の光を浴びる風景を描いた。
色彩の表現を研究していたゴッホですが、印象派の絵画とは一線を画するファンゴッホ独特の色彩表現が緻密な構図の中に発揮されている。
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フィンセント・ファン・ゴッホ 《アニエールのセーヌ川にかかる橋》 1887年 油彩、カンヴァス 

1888年2月19日、ファンゴッホはパリを離れて南仏のアルルに向かった。この地で1年3ヶ月を過ごす間に約200点もの作品を制作しており、ゴッホの制作活動の中でもとりわけ実り多き時代として知られている。
ゴッホとゴーギャンは2カ月間アルルで共同生活を送った。
この時、2人は形態の単純化やその強調について議論したと伝えられている。
そのただ中に描かれた本作品は、ゴーギャンとの深い関係を物語る。
長年のミレーへの敬愛が明確に表れている一方、構図の取り方は、日本の浮世絵から借用したものだ。
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フィンセント・ファン・ゴッホ 《日没を背に種まく人》 1888年 油彩、カンヴァス 

ファンゴッホは、ゴーギャンとの関係悪化から精神障害の発作を起こし、自らの耳を切り落とす事件を起こしてしまう。半年後にファンゴッホは、サンレミにある療養院に自ら入院し、1年間を過ごす。
1890年の春に制作されたこの作品は、ミレーの《落ち穂拾い》に想を得て得て制作された作品で、懸命に労働に向き合う農夫の姿を描くことでファンゴッホは画面に故郷へのノスタルジックな思いを込めた。
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フィンセント・ファン・ゴッホ 《二人の農夫》 1890年 油彩、カンヴァス 


1890年5月16日、ファン・ゴッホはサン・レミの療養院を退院し、パリで・弟テオとその妻ヨーと3日ほど過ごし、5月20日にオーヴェール=オワーズに到着した。その2ヶ月後の7月末にピストル自殺を計って37年の人生に幕を閉じた。
この作品はゴッホ最晩年の作品の一つで、ビュルレコレクションのゴッホ作品唯一の花の絵画。
ゴッホは、花が咲く枝を誕生や新生といった人生の節目における始まりとみなしていた。
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フィンセント・ファン・ゴッホ 《花咲くマロニエの枝》 1890年 油彩、カンヴァス 

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そして印象派作品を中心として、派生的に19世紀、20世紀初頭のフランス絵画、そして肖像画、風景画、モダンアート作品に分類しての展示構成になっています。

紹介したい作品が盛りだくさんですが長くなるので・・・・・

この作品一点のみ撮影可能です。
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クロード・モネ 《睡蓮の池、緑の反映》 1920-26年 油彩、カンヴァス 

展覧会の構成は以下の通りです。
1章 肖像画
2章 ヨーロッパの都市
3章 19世紀のフランス絵画
4章 印象派の風景 ―マネ、モネ、ピサロ、シスレー
5章 印象派の人物 ―ドガとルノワール
6章 ポール・セザンヌ
7章 フィンセント・ファン・ゴッホ
8章 20世紀初頭のフランス絵画
9章 モダン・アート
10章 新たなる絵画の地平


HPの展覧会概要より
スイスの大実業家エミール・ゲオルク・ビュールレ(1890-1956年)は、生涯を通じ絵画収集に情熱を注いだ傑出したコレクターとして知られています。主に17世紀のオランダ絵画から20世紀の近代絵画に至る作品、中でも印象派・ポスト印象派の作品は傑作中の傑作が揃い、そのコレクションの質の高さゆえ世界中の美術ファンから注目されています。 この度、ビュールレ・コレクションの全ての作品がチューリヒ美術館に移管されることになり、コレクションの全体像を紹介する最後の機会として、日本での展覧会が実現することとなりました。

本展では、近代美術の精華といえる作品64点を展示し、その半数は日本初公開です。絵画史上、最も有名な少女像ともいわれる《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢(可愛いイレーヌ)》、スイス国外に初めて貸し出されることになった4メートルを超えるモネ晩年の睡蓮の大作など、極め付きの名品で構成されるこの幻のコレクションの魅力のすべてを、多くの方々にご堪能いただきたいと思います。

国立新美術館 至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
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2018.04.20

よく歩く道(明治神宮)

原宿や渋谷に行く時は、時間が許す限り小田急線参宮橋駅で降りて、西門から入って、西参道の森を歩いて本殿へ、本殿を出て南参道を歩いて原宿に抜け、そして目的地に向かうようにしています。

原宿から南参道を、ぞろぞろと大勢の人が本殿に向かいますが、参宮橋から本殿に向かう人はまばらで、緑の道をのんびり歩くことができます。

ご存じのことと思いますが神宮の森は人工の森です。
「明治神宮が出来る前はこの辺り一帯は南豊島御料地(皇室の所有地)といって、現在の御苑一帯を除いては畑がほとんどで、荒れ地のような景観が続いていたそうです。」(明治神宮HPから)
100年後には自然の森に・・・・と考えた設計者の思いを感じながら歩くのも楽しいものです。

現在、明治神宮は、鎮座百年を迎えるにあたって改修工事が進められています。
蘇る神社建築を、その変化の過程を観るのも楽しいですよ。
「明治神宮では現在、鎮座百年祭記念事業の一環として御社殿群の銅板屋根葺替え工事を行っております。工事は外拝殿の銅板屋根葺替え工事を終え、内拝殿、本殿へと進んでいきます。(明治神宮HPから)
 
スマホで撮りながら歩いてみました。
西参道の鳥居→本殿に向かう道(西参道)→チョット左の道に寄り道、広場へ→西参道に戻って→本殿→本殿を出て→南門を振り返る→原宿方面へ向かう道(南参道)→日本一の大鳥居をくぐって・・・・・・

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2018.04.17

「ルドン ― 秘密の花園」展

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「ルドン ― 秘密の花園」展は、
三菱一号館美術館で開催されています。


会期 2018年2月8日(木)~5月20日(日)


この企画展の注目作品は、
ドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂装飾画ですね。
オルセー美術館所蔵の15点と三菱一号館美術館の《グラン・ブーケ(大きな花束)》が揃って展示されるのはこの展覧会が初めてだそうです。

ちょっと残念だったのは、食堂の雰囲気丸ごとを感じられるような展示にはなっていなかったことです。
その点を配慮してでしょうか、何時もの?撮影コーナー(室)四方にコピーを展示していました。
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ルドンというと「異形のフォルム、モノトーン、思索的」な作品を多く見てきたように思いますが、この企画展でルドンの画家人生と作品を網羅的に観ることができたと思います。


展覧会の構成は次の通りです。
(会場内のキャプションを参考にしています)
1、コローの教え、ブレスダンの指導
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《スペインにて》
1865年 エッチング/紙 22.2×15.9 cm  シカゴ美術館
パリからボルドーに帰郷した当時、ボルドーには、ロドルフ・ブレースタンが滞在しており、ルドンはこの版画家からエッチングの手ほどきを受ける。
本作はこの頃制作された初期のエッチング作品の1つ。

2、人間と樹木
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《夢の中で》『ゴヤ頌 』 III. 陰気な風景の中の狂人
1885年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ)22.7×19.3 cm 三菱一号館美術館
ルドンは1874年頃からレイサック夫人のサロンに通っていた。
新たな技法を獲得したルドンは、次々と石版画を製作するようになり、1879年に最初の石版画集「夢の中で」が完成する。
わずか25部のみの印刷部数で、そのほとんどがメイサック夫人やサロンの仲間たちによって引き取られた。

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《アレゴリー(太陽によって赤く染 められたのではない赤い木)》
1905年 油彩/カンヴァス 46.0×35.5 cm  三重県立美術館
「赤い木」をルドンは幾度も描いており、画家にとって特別な象徴性を持っていると考えられる。
中央に描かれた人物は「キリストの洗礼」や「ノリ・ナ・タンゲレ(我に触れるな)」と言ったキリスト教美術の伝統的な主題と関連付けられている。
一方で、明るい色彩や貝殻のようなモチーフは神話主題も想起させる。

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《キャリバンの眠り》
1895-1900 年 油彩/カンヴァス 48.3×38.5 cm オルセー美術館
シェイクスピアの戯曲「テンペスト」に登場するキャリバンは、主人公プロスペローに仕えた野蛮な奇形の奴隷である。
異形の生物を好んで描いたルドンにとって「テンペスト」に出てくる小怪物は創作意欲を刺激されるキャラクターだった。
樹木は、空想上の存在の寄り代として描かれる・・・・

3、植物学者アルマン・クラヴォー

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『夢想(わが友アルマン・クラヴォーの思い出に)』 VI. 日の光
1891年 リトグラフ/紙(シーヌ・アプリケ) 21.0×15.8 cm 三菱一号館美術館
1891年に80部限定で出版された石版画集「夢窓」の題名は、その前年にボルドーの自宅で自殺したルドンの年上の友、アルマン・クラヴォーに捧げられた。
窓枠の向こうに樹木が描かれ、室内には胞子か細胞のようなものが舞っており、植物学者へのオマージュとなっている。

4、ドムシー男爵の食堂装飾
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《グラン・ブーケ(大きな花束)》
1901年 パステル/カンヴァス 248.3×162.9 cm  三菱一号館美術館
ロベール・ド・ドムシー男爵(1862-1946)の城館を飾った16点の壁画のうちの1点です。
16点のなかで最大、華やかさがひときわ目立つ三菱一号館美術館自慢の所蔵品ですね。

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左《人物》右 《人物(黄色い花)》
1900-1901年 木炭、油彩、デトランプ/カンヴァス  オルセー美術館
「オルセー所蔵15点のドムシー男爵の城館の食堂壁画」のうちの2点。
暖炉のマントルピ-ス上の壁に配された作品。

5、、「黒」に棲まう動植物

6、、蝶の夢、草花の無意識、水の眠り
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《 蝶 》
1910 年頃 油彩/カンヴァス73.9×54.9 cm ニューヨーク近代美術館( MoMA)
描かれているのは蝶なのか花なのか?ルドンの絵にはこうした曖昧な部分がみられ、鑑賞者には多様な解釈が許されています。


7、再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな
ルドンは初期から花瓶の花を描いてきたが、晩年には特別に制作数が増えている。合計81種類の花瓶が使われたことが判明しているが、そのうち1つは陶芸家のマリー・ボトキンの手によるもので角度を変えながら計7点が描かれている。また日本の役者を描いた上も数点描かれ描かれている。
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《野の花のいけられた花瓶》
1910年頃 油彩/カンヴァス 55.9×39.4 cm  NGAナショナル・ギャラリー、ワシントン

8、装飾プロジェクト


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HPの「本展の見どころ」から
三菱一号館美術館では2018年2月8日(木)~5月20日(日)まで「ルドン―秘密の花園」展を開催します。
オディロン・ルドン(1840-1916年)は、印象派の画家たちと同世代でありながら、幻想的な内面世界に目を向け、その特異な画業は、今も世界中の人の心を魅了して止みません。なかでも本展は植物に焦点をあてた、前例のない展覧会となります。
本展の大きな見どころは、フランス・ブルゴーニュ地方に居を構えた美術愛好家のドムシー男爵が、ルドンに注文した城館の食堂の装飾画です。完成後、装飾画はドムシー城に秘蔵され、当館所蔵の《グラン・ブーケ(大きな花束)》を除く15点は食堂の壁から取り外され1980年には日本でも公開されましたが、1988年にフランスの“相続税の美術品による物納”制度により国家所有に帰し、現在はオルセー美術館の所蔵となっています。残された《グラン・ブーケ》は制作後110年目の2011年3月、パリで開催されたルドン展にて初公開され、今日まで当館の所蔵品として幾度か公開してきましたが、本展では、オルセー美術館所蔵の15点と合わせてドムシー城の食堂を飾ったルドンの装飾画が一堂に会す日本初の機会となります。
このほか、世界有数のルドンコレクションとして名高い岐阜県美術館をはじめ、国内の美術館、そして、オルセー美術館、ボルドー美術館、プティ・パレ美術館(パリ)、ニューヨーク近代美術館[MoMA]、ワシントン・ナショナル・ギャラリー、シカゴ美術館、フィリップス・コレクションなど海外の主要美術館から、植物のモティーフのルドン作品が来日し、およそ90点により構成する大規模なルドン展となります。



三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第1章「コローの教え、ブレスダンの指導」
第2章「人間と樹木」
第3章「植物学者アルマン・クラヴォー」
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三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第4章「ドムシー男爵の食堂装飾」
InternetMuseum


三菱一号館美術館 ルドン ─ 秘密の花園
第5章「『黒』に棲まう動植物」
第6章「蝶の夢、草花の無意識、水の眠り」
第7章「再現と想起という二つの岸の合流点にやってきた花ばな」
第8章「装飾プロジェクト」
InternetMuseum

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2018.04.15

牡丹の美しさ

どちらかといえば可憐な草花が好みですが、この牡丹には魅了されました。
完璧なフォルムと、色味、グラデーション。

理想の草花を探しに散策するのに最適な季節ですね。

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2018.04.13

音声入力(iPhone + Googleドキュメント)

展覧会などに行った時のメモなどは、音声入力を使って入力することが多いです。
iPhone、iPadを使ったり、ノートパソコンでGoogleドキュメントに音声入力ししたりしていますが、
iPhone (iPad) + Googleドキュメントは使い勝手が良いので紹介して見ます。
入力した文章をコピペしてブログなどに使っています。

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2018.04.10

ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより

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「ヌード NUDE ―英国テート・コレクションより」展は、
横浜美術館で開催されています。

会期 2018年3月24日(土)~6月24日(日)

19世紀のイギリスでは、ヌードは古典文学や神話、聖書を題材とした歴史画でのみ、描くことが許されていました。
19世紀も後半になると、周辺の身近な人々のヌードを描くようになります。
20世紀に入ると、ヌードそのものを対象として描き、抽象表現も現れ、性と無意識という新たな領域(シュルレアリスム)にも挑戦しました。
政治的表現の一手段としてのヌード。
筆触、デフォルメ、構図による人体の物質性と内面性の表現。
移ろいゆく肉体とヌード。

永遠の画題、テーマであるヌードを社会的背景、美術史的視点、表現手法、画法・・・あらゆる視点で分かり易く展示しています。
油彩画を中心に、彫刻、写真、版画等130点の展示です。

本展ではロダンの《接吻》のみ撮影可です。
オーギュスト・ロダン《接吻》 1901-4年、ペンテリコン大理石
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美術ナビのロダン接吻の秘密はこちらから
人気漫画家あべ美幸がヌード展のために描きおろしたロダン『接吻』の秘密。ロダン彫刻で”最もエロティック”な大理石像に秘められたストーリーを描きます。


展覧会の構成は次の通りです。
第1章 物語とヌード
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フレデリック・レイトン 《プシュケの水浴》 1890年発表 油彩/カンヴァス
ビクトリア王朝の典型的なヌード。


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ハーバート・ドレイパー イ 《カロス哀悼》 1898年発表 油彩/カンヴァス
ドレイパー イは、ラファエル前派の画家で海を舞台とした神話的作品を得意とした。

第2章 親密な眼差し
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エドガー・ドガ 浴槽の女性 1883年頃 パステル/紙
「われわれは鍵穴を通して彼女たちを覗き見ている」と彼自身が語ったようにドガは日常生活の一瞬を捉えた自然な体勢の裸婦を多く描きました。

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ピエール・ボナール 浴室 1925年 油彩/カンヴァス
浴槽にいる妻マルトを描いた連作の中で初めて全身像。
ボナールは、対象を観察しすぎることで第一印象から遠ざかることを避けるために目の前にいるモデルは描かず、記憶を頼りに描くことを好んだ。

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オーギュスト・ルノワール ソファに横たわる裸婦 1915年 油彩/カンヴァス

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アンリ・マティス 布をまとう裸婦 1936年 油彩/カンヴァス


第3章 モダン・ヌード
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ヘンリー・ムーア 倒れる戦士 1956–57年(1957–60年頃鋳造) ブロンズ
戦いで傷つき弱った人間の死を前にした劇的な瞬間を描いている。

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パブロ・ピカソ 首飾りをした裸婦 1968年 油彩/カンヴァス
マネのオランピアを参照したことが指摘されている。
モデルはピカソの2番目の妻ジャクリーヌ・ロックといわれる。

第4章 エロティック・ヌード
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デイヴィッド・ホックニー 23、4歳のふたりの男子「C.P.カヴァフィスの14編の詩」のための挿絵より 1966年
エッチング・アクアチント/紙
イギリスで同性愛が違法だった時代に男性同士の親密な関係を描いた。


ターナーは風景を描くため旅行に携えたスケッチブックに観察と想像に基づいたエロチックなスケッチが残されている。
1850年代ターナーの名声を守るための遺産管理人によってこうしたデッサンの多くが消去されたが、近年その存在が明らかになり研究が進んでいる。
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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー ベッドに横たわるスイス人の裸の少女とその相手「スイス人物」スケッチブックより 1802年 黒煙、水彩/紙

第5章 レアリスムとシュルレアリスム
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ポール・デルヴォー 眠るヴィーナス 1944年 油彩/カンヴァス
スピッツナー博物館の展示物に触発された作品。
人体の骨格標本や横たわる女性のポーズも博物館の展示品からとられている。
本作は爆撃被害に遭っていた戦時中のブリュッセルで描かれており、画家は後に、本作についてヴィーナスの静謐さと当時の劇的な状況を意図したと述べている。

第6章 肉体を捉える筆触
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ルシアン・フロイド 布切れの側に佇む 1988–89年 油彩/カンヴァス
長時間に及ぶモデルの観察を経て描かれる彼の作品には、画家とモデルとの間の心理的な緊張が反映されている。

第7章 身体の政治性
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バークレー・L・ヘンドリックス ファミリー・ジュールス:NNN (No Naked Niggahs[裸の黒人は存在しない]) 1974年
油彩/カンヴァス
裸の黒人男性を伝統的なオダリスクに置き換え、それをシャツに描かれた白人女性が見つめるという構図で描き、黒人男性の身体に対する白人の恐怖感や性的固定観念に向き合った 。
理想化された黒人像ばかりを描いてきた当時の黒人芸術に対する挑戦でもあった。


第8章 儚き身体

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シンディ・シャーマン 無題 1982年 タイプCプリント


HPから「展覧会概要」です。
ヌード――人間にとって最も身近といえるこのテーマに、西洋の芸術家たちは絶えず向き合い、挑み続けてきました。美の象徴として、愛の表現として、また内面を映しだす表象として、ヌードはいつの時代においても永遠のテーマとしてあり続け、ときに批判や論争の対象にもなりました。
本展は、世界屈指の西洋近現代美術コレクションを誇る英国テートの所蔵作品により、19世紀後半のヴィクトリア朝の神話画や歴史画から現代の身体表現まで、西洋美術の200年にわたる裸体表現の歴史を紐ときます。フレデリック・ロード・レイトンが神話を題材として描いた理想化された裸体から、ボナールらの室内の親密なヌード、男女の愛を永遠にとどめたロダンの大理石彫刻《接吻》[日本初公開]やシュルレアリスムの裸体表現、人間の真実に肉迫するフランシス・ベーコン、さらにはバークレー・L・ヘンドリックスやシンディ・シャーマンなど、現代における身体の解釈をとおして、ヌードをめぐる表現がいかに時代とともに変化し、また芸術表現としてどのような意味をもちうるのか、絵画、彫刻、版画、写真など約130点でたどります。
2016年のオーストラリアを皮切りにニュージーランド、韓国へと国際巡回する本展。待望の日本上陸です

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2018.04.07

Amazon echoでkindle本を読んでみました(聴いてみました)

電子ブックリーダーで本を読む方も多いかと思います。
私も、ブックリーダー、タブレット端末、スマホで読むことはありますが、最近は本(紙媒体)に戻っています。ただし、雑誌はタブレット端末で読んでいます。
特別な理由はありませんが、長年の習慣で染み付いた、何か?が作用しているようです。
(かつて、スマホで漱石の小説を読み切ったこともあたのですが・・・・)

オーディオブックを利用する方も増えています。
Amazonにもaudibleがあり、聴き放題月額1500円ということですが、プライムビデオで経験した方も多いと思いますが、必ずしも読みたい、見たい作品があるわけではありません・・・と思います。

1500円が高いか?安いか?微妙な価格設定ですね。
プライム会員3ヵ月無料体験してみようかな〜

オーディオブックアプリは無料も含めて他にもあります。
一長一短ありで、利用頻度、どんな本を読むかで選択することになります。

そこで、Amazon echoでkindle本を読んでみました。(聴いてみました)
パブリックドメイン作品を読むといえば定番の『青空文庫』
青空文庫に収められている作品もkindleで読むことができます。


朗読という感じではなく所謂棒読みですが、寝転がって、ボケーとしながら古典名作の世界へというのもいいかもしれませんよ。

別の章に移動したり、早送り、巻き戻しはAlexaアプリでの手作業になります。
勿論、アプリ操作で読み(聴き)始めたり、止めたりできます。



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2018.04.05

「生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ近代動物画の冒険」

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「生誕140年記念特別展 木島櫻谷 PartⅠ近代動物画の冒険」は、
泉屋博古館(東京)で開催されています。

会期 2018年2月24日(土)~ 4月8日(日)

人気作品は「寒月」ですね。
作品前の椅子に座って鑑賞するのがお勧めです。
目線がちょうどいいですよ。
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寒月 大正元年(1912) 絹本着色 六曲一双 京都市美術館
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モノクロームのように見えますが・・・
青、緑、茶を上手く使っています。岩絵の具を工夫し(使いこなして)微妙な表現を獲得しています。
・・・こだわり満載の作品です。
冷気に包まれた空間に冴えわたる下弦の月、慎重に歩を進める鋭い目つきの狐。
臨場感が見事に伝わってきます。
(夏目漱石が徹底的に酷評した、いわくつきの屏風だそうですが・・・)

木島櫻谷の描く動物は高く評価されました。
野卑に走らず、どこか知的で優美な動物たち、その優しいまなざしは、生涯にわたり櫻谷の作品に生き続けました。(キャプションより)

展覧会の構成は次の通りです。
青年のころ ―雄渾自在な筆勢
壮年のころ ―洗練の色彩、緻密な彩色
暮年のころ ―動物を見つめ、自身を見つめ


輪郭線はほとんど見られず、塗り重ねた色面のみで肉体を描いています。
丹念に繰り返した写生による画力が結実しているようです。
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獅子虎図屏風(右隻) 紙本着色 六曲一双 明治37年(1904)


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写生帖 猫(部分) 明治後期 櫻谷文庫


割筆を使って乾いた墨調で剛毛の質感を、潤った墨調で顔や足先などを描いています。
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熊鷲図屏風(右隻部分) 紙本墨画着色 二曲一双  明治後期

鹿は動物園や奈良公園で、中央の大木は今なお衣笠の自邸画室前に健在の唐楓を写生したそうです。
晩秋から初冬の景色。生え変わったばかりの豊かな冬毛が丹念に描かれています。
古来鹿は、その姿や声に秋の到来、もの悲しさ、孤独が重ねられ絵画化されてきました。
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角とぐ鹿 絹本着色 1幅 昭和7年(1932) 京都市美術館

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かりくら(部分) 絹本着色 2幅 明治43年(1910) 櫻谷文庫
「かりくら」とは狩り競べのことです。

HPの解説です。
京都の円山・四条派の流れをくむ今尾景年に学んだ櫻谷は、20代で頭角を現し、明治後半から大正期にかけて文展の花形として活躍しました。画業のなかで、最も高く評価されたのが動物画です。それは徹底した写生を基礎に、卓越した技術と独自の感性により創造されたもの。確実で精緻にとらえられた動物の表情は、一方で情趣にあふれ、どこかもの言いたげです。
本展では彼の描いた"動物"に着目し、その代表作はもちろん未公開作品を一堂にあつめ、多様な表現とその変遷をたどります。また櫻谷文庫に遺された多くの資料調査から、それらの制作背景や画材などをあわせて紹介します。(展示替えがあります)


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2018.04.03

町田ぼたん園2018-04

園内は広いとはいえませんが、百花繚乱の趣。
若葉と花の彩りはパステルカラーの世界、最も好きな季節到来です。
ぼたん園の(牡丹の)満開シーズンは一か月程先ですが、今のこの時期も好きです。

今回はミラーレスを持っていきました。


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2018.04.02

観てきた展覧会備忘録 2018年3月

浜田知明 100年のまなざし
2018年3月10日(土)〜4月8日(日)
町田市立国際版画美術館


博物館でお花見を
会期 2018年3月13日(火)~2018年4月8日(日)
東京国立博物館


人体―神秘への挑戦―
会期 3月13日(火)~6月17日(日)
国立科学博物館


日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光
会期 2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日)
国立西洋美術館


マーグ画廊と20世紀の画家たち―美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を中心に
2018年2月24日(土)~2018年5月27日(日)
国立西洋美術館[新館 版画素描展示室]


寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽
会期 2018年2月14日(水)〜4月8日(日)
サントリー美術館


至上の印象派展 ビュールレ・コレクション
会期 2018年2月14日(水) ~ 5月7日(月)
国立新美術館


河鍋家伝来・河鍋暁斎記念美術館所蔵(内覧会参加)
暁斎・暁翠伝 ─先駆の絵師魂!父娘で挑んだ画の真髄─
会期 2018年4月1日(日)~6月24日(日)
東京富士美術館


「en[縁]:アート・オブ・ネクサス――第15回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館帰国展」  (会期終了)
会期2018年1月24日(水)~ 3月18日(日)
TOTOギャラリー・間(ま)

 
江戸の女装と男装
会期 2018年3月2日(金)~3月25日(日)  (会期終了)
太田記念美術館


ボストン美術館 パリジェンヌ展  (会期終了)
時代を映す女性たち
会期 2018年1月13日(土)~4月1日(日)
世田谷美術館

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2018.04.01

トーハク春の庭園開放2018

トーハクでは、春の庭園開放が行われています。上野恩賜公園桜祭りの喧騒とは違い、作品鑑賞の合間、静かな空間でノンビリ過ごせました。風に散りゆく桜も風情です。今年は開花が早かったので、既に散ってしまったかな?と思っていたのですが・・・

春の庭園開放 3月13日(火)~5月20日(日)


スマホで撮りました。

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「博物館でお花見を」開催中
会期 3月13日(日)~4月8日(日)

さくらに纏わる作品が展示されていて楽しいです。
各種イベントも開催されています。

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2018.03.30

ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

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「ボストン美術館 パリジェンヌ展
時代を映す女性たち」は、
世田谷美術館で開催されています。

会期 2018年1月13日(土)~4月1日(日)

この展覧会の時代背景は、
1715年ルイ15世が5歳で即位、1774年ルイ16世即位、その18世紀からシャルル・ドゴールが第5共和政(1958年)の初代大統領に選出される20世紀中ごろまでです。

パリという魅力あふれる都市に生きる(生きてきたた)女性を・・・
あるべき姿とされた時代から(社会的な位置づけ)社会進出に至る過程での変遷をファッションアイテム、肖像画、調度などを通して概観しています。


一番の注目はこの作品でしょうか・・修復後初公開です。
酒場を渡り歩く歌い手を描いた作品。
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エドゥアール・マネ 《街の歌い手》
1862年頃 油彩・カンヴァス 

この作品のモデルは10年以上にわたりマネのモデルを務めたヴィクトリーヌ・ムーランである。彼女はアルコール中毒と貧しさの中で亡くなったとされていたが、近年の研究で後年はサロンでも出品する画家として活躍していたことが明らかになった。(キャプションから)


展覧会の構成は以下の通りです。
第一章 パリという舞台・・邸宅と劇場に見る18世紀のエレガンス
ルイ15世の寵愛を受けた女性(チラシより)
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フランソワ・ユベール・ドルーエ 《トルコ風の衣装を着たマルグリット・カトリーヌ・エノー嬢、後のモンムラ侯爵夫人》
1762年 油彩・カンヴァス 

舞台衣装がトレンドに(チラシより)
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原画、版刻:ジャン=バティスト・マルタン 出版:エスノー、ラピイ 《ヴィーナス…『ギャルリー・デ・モード・エ・コスチューム・フランセ』フランスの衣服25、1779年の流行の衣服19より》
1779年 エッチング、手彩色 

第二章 日々の生活・・家庭と仕事、女性の役割
若い召使、誘惑するまなざし(チラシより)
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ルイ=レオポルド・ボワイ― 《アイロンをかける若い女性》
1800年頃 油彩・カンヴァス 

自立する女性を揶揄する風刺画(チラシより)
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オノレ・ドーミエ 《〈青鞜派〉第28図(『シャリヴァリ』1844年5月23日)》
1844年 リトグラフ、第3ステート 

第三章 パリジェンヌ確立・・憧れのスタイル
パリジェンヌになりきる、ボストン社交界の美女(チラシより)
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ジョン・シンガー・サージェント 《チャールズ・E. インチズ夫人(ルイーズ・ポメロイ)》
1887年 油彩・カンヴァス 

ウジェニー王妃お気に入りの肖像画家の傑作(チラシより)
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フランツ・クサーヴァー・ヴィンターハルター 《ヴィンチェスラヴァ・バーチェスカ、ユニヤヴィッチ夫人》
1860年 油彩・カンヴァス

第四章 芸術をとりまく環境・・製作者、モデル、ミューズ
ルーブルで絵画鑑賞するカサット姉妹(チラシより)
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エドガー・ドガ 《美術館にて》
1879–90年頃 油彩・カンヴァス

第五章 モダン・シーン・・舞台、街角、スタジオ
ベル・エポックのキュートなイラスト(チラシより)
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ゲアダ・ヴィーイナ 《スコットランドシルクのベスト、ねずみ色の綿の厚手クレープのスカート『ジュルナル・デ・ダム・エ・デ・モード』より、プレート170》
1914年 エッチング、手彩色(ポショワール) 

戦後パリのみずみずしいファッション写真(チラシより)
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レギーナ・レラング 《バルテ、パリ》
1955年 ゼラチン・シルバー・プリント 


HPの解説です。
パリという魅力あふれる都市に生きる女性、パリジェンヌ。サロンを仕切る知的な女主人、子を慈しむ美しい母、流行を生み出すファッショニスタ、画家のミューズ、そして自ら道を切り開き才能を開花させた画家や女優――その多様な生き方は、今なお私たちを惹きつけてやみません。

本展覧会では、マネの《街の歌い手》をはじめ、ドガやルノワールなど印象派の巨匠が描いた女性の肖像、カサットやモリゾなど女性芸術家による傑作、カルダンやバレンシアガの斬新なドレスからブリジット・バルドーほか映画や舞台で活躍した女優のポートレートまで、ボストン美術館所蔵の多彩な作品約120点を通して、18世紀から20世紀のパリを体現する女性たちの姿に迫ります。

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2018.03.27

美術館と桜(乃木坂・六本木・東京ミッドタウン・砧公園)

今年の開花は早いですね~
美術館に行ったついでに、その周辺の桜を鑑賞してきました。
いっせいに咲き乱れた今年の桜・・・美術館周辺の景色も見事でした。
今週末までもつかな~


乃木坂(国立新美術館
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六本木ヒルズ周辺
森美術館森アーツセンターギャラリー
さくら坂
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毛利庭園
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東京ミッドタウン
サントリー美術館21_21 DESIGN SIGHTフジフィルムスクエア
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砧公園世田谷美術館
よく行く美術館ですが、公園内を散策するのは何年かぶりでした。
広大な敷地には古木の桜もあって、桜の下で大勢の人々が楽しんでいました。

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2018.03.24

第158回芥川賞受賞作「おらおらがひとりいぐも」(若竹千佐子著)を読んでみました

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第158回芥川賞受賞作「おらおらがひとりいぐも」(若竹千佐子著)を読んでみました。
ここ数年の受賞作に中で一番の秀作と思いました。

読んでから可成りの日にちが過ぎたので、上手くまとめられたか心もとないのですが、以下に気になったフレーズと共に紹介してみます。


ーーこの小説の冒頭部分です。

あいやぁ、おらの頭(あだま)このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねでか
どうすっぺぇ、この先ひとりで、何処(なんじょ)にすべがぁ
何処(なんじょ)にもかんじょにもしかたながっぺぇ
てしたごどねでば、なにそれぐれ
だいじょぶだ、おめには、おらがついでっから
あいやぁ、そういうおめは誰なのよ
きまってっぺだら。おらだば、おめだ。おめだら、おらだ

ーーーーーー

郊外の住宅地に住む74歳の桃子さん、既に夫は亡く二人の子供とも疎遠になりがちです。
そんな桃子の日常を語り部と内なる声で綴ります。桃子さんの内なる声は東北弁で語られています。
「おらだば、おめだ。おめだら、おらだ」
桃子さんの人物像が一層際立ちます。ーー

桃子さんは、一日中家に居て、古里のこと、子供の頃おばあちゃんに教わったこと、周造のことなどなどを考えています。雑然とした部屋の中でーーーーーーー
そして「おらだば、おめだ。おめだら、おらだ」-----


おらの心の内側で誰かがおらに話しかけてくる。東北弁で。それも一人や二人ではね。大勢の人がいる。今やその大勢の人がたの会話で成り立っている。それをおらの考えと言っていいもんだがどうだか。確かにおらの心の内側で起こっていることで、話し手もおらだし、聞き手もおらなんだが、なんだがおらはか皮(がわ)だ、皮にすぎねど思ってしまう。おらという皮で囲ったあの人がたはいったい誰なんだが。 ついおめだば誰だ、と聞いてしまう。おらの心の内側にどうやって住んでんだが。あ、そだ。小腸の絨毛突起のよでねべが。んだ、おらの心のうちは密生した無数の絨毛突起で覆われてんだ。ふだんはふわりふわりとあっちゃにこっちゃに揺らいでいて、おらに何か言うときだけそこだけ肥大してもの言うイメージ。おらは困っているども 、案外やんたぐね。それでもいい、おらの心が おらに乗っ取られても。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

露寒の日が続くーーーー
疎遠になっている直美から電話が来ることになっていて、戸惑いを感じながらも、喜びが湧いてくる。
(直美は、車で20分位のところに住んでいる)

桃子さんがずっと考え続けてきたことを、今こそ娘に伝えたいと思ったのだった。
直美がなぜ離れていったのか・・・・ あの時の後悔を。


「・・・急で悪いんだけど、あの・・・お金貸してくれない」

ーーー桃子さんは咄嗟のことで躊躇したーーしばらくの沈黙が続いてーーーーー

「なによ。お兄ちゃんだったら、すぐに貸してあげるくせに」

ーーーー
桃子さんは娘とのことを思うと、
古里を離れたときの母との経緯(いきさつ)を思い出す。
(結婚を促されるなどのことあって ・・・)

兄さんが継ぐ兄さんのためということか?
ずっとあそこにいるのはもう嫌だ。母ちゃんの目の届かないところで何もかも新しく始めたい。
東京オリンピックの年だった。

ーーーーーーーーーー

だいたい、いつからいつまで親なんだか、子なんだか、親子といえば手を繋ぐ親子を想像するけれど、ほんとうは子が成人してからの方がずっと長い。かつての親は末っ子が成人する頃には亡くなってしまったそうだけど、今の親は自分の老いどころか子の老いまで見届ける。そんなに長いんだったら、 いつまでも親だの子だのにこだわらない。ある一時期を共に過ごして、やがて右と左に別れていく。それでいいんだと思う。それでもちゃんと覚えているのだ、大事だということを。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八月の終わり、桃子さんは町唯一の総合病院に出向いた。
診察を終え、会計を済ませたのは昼過ぎだった。
何時もの喫茶店の窓際に座って、古里を出た後の都会での生活、周造との出会い、職場での友人との思い出・・・故郷への思い、周造との生活そして死別、様々な出来事が脳裏に浮かんでくる。
桃子さんはとことん突き詰めて思考するタイプの人間であることを自認している。

ーーーー

二人の間に流れた歳月。
周造とおらは似ている。周造を愛することはおらお愛することと同じ、何も変わらない、そう思っていた。
周造は父で、兄で弟で、ときには息子であったかもしれない。
どんなに近しくてもやはり自分ではない、他者である。そう気づくには十分な月日が流れたのだ。周造が変わったのではない、桃子さんが変わった。桃子さんは自分のために生きたいと願うようになった。桃子さんをどんなに責めさいなむ声が聞こえても、もう引き返せないし、周造、おらはやっぱり引き返さない。


ーーーーーーーーーー

朝の涼しさが増してきた。夜通し声の限りに鳴く虫の音もさすがに今はおぼつかない。
桃子さんはあふれる笑顔で階段を下りて、身支度を整えた。
亭主が眠る市営霊園に行くことにしている。
バスで楽して行くこともできるが、桃子さんは手弁当で、手前の脚で行くことにこだわってている。
道すがら、歩き疲れて、落ち葉の上にべったり座って、記憶をたどりーーーー
躓いてしまい、激痛の中で墓地に辿り着くだろうかと思いながらーーー
思いつくままに思考を続けます。


もういままでの自分では信用できない。おらの思ってもみながった世界がある、そこざ、いってみて。おら、いぐも。おらおらで、ひとりいぐも。

亭主が亡くなってからというもの、現実は以前ほどの意味を持たなくなった。こうあるべき、こうせねば、生きる上で桃子さんを支えていた規範は案外どうでもいいものに思えてきた。現実の常識だの約束事は亭主がいて守るべき世界があってはじめて通用する。
子供も育て上げたし、亭主も見送ったし。もう桃子さんが世間から必要とされる役割は全て終えた。きれいさっぱり用済みの人間であるのだ。亭主の死と同時に桃子さんはこの世界との関わりも立たれた気がして、もう自分は何の生産性もない、いてもいなくてもいい存在、であるならこちらからだって生きている上での規範がすっぽ抜けたっていい、桃子さんの考える桃子さんのしきたりでいい。おらはおらに従う。どう考えてももう今までの自分ではいられない。誰にも言わない、だから誰も気づいていないけれど、世間だの世間の常識だのに啖呵を切って、尻ぱっしょりをして遠ざかっていたいとあの時から思うようになった。


桃子さんという人は人一倍愛を乞う人間だった。およそ家庭的な愛に恵まれていたのになおもっともっと。人を喜ばせたいという気持ちも強かった。そのために人が自分に何を要求しているかに敏感だった。その要求に合わせていかようにも自分を作っていけるような気がした。やさしさ、従順、協調性。いつでもどうぞ。いつか桃子さんは人の期待を生きるようになっていた。結果としてこうあるべき、という外枠に寸分も違わずに生きてしまったような気がする。それに抗うほど尖ってもいなかったし、主張するほどの強い自分もなかったのだ。
気がつくために費やされた時間が、すなわち桃子さんの生きた時間だった。あいやぁ、という他はない。

墓所についてちらりと横を見ると赤いものが目の端に飛び込んできた。枯れて半分ひしゃげたカラスウリが一つ。
たちどころに桃子さんは分かったのである。あの笑いの意味。ひっきりなしにこみあげる笑いの意味。
ただ待つだけでながった。赤に感応する、おらである。まだ戦える。おらはこれがらの人だ。こみあげる笑いはこみあげる意欲だ。まだ、終わっていない。桃子さんはそう思ってまた笑った

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十二月になった。
このあたりの木々もやっと、紅葉し始めた。

桃子さんは食欲も旺盛で元気だ。
老いについて考えている。

暮れも押し詰まったころ、桃子さんは久しぶりで古里の八角山の夢を見た。
「いったい八角山はおらにとってなんだべか」
それは常に桃子さんの傍らの問だった。
今までにあったことが、全て八角山とどこかでで繋がっていた。


ーーーー


明日は立春という晩、桃子さんはわずかばかりの豆を用意した。

おらはちゃんとに生ぎだべか

おらは後悔はしてねのす。見るだけ眺めるだけの人生に
それもおもしぇがった。おらに似合いの生き方だった
んでも、なしてだろう。こご至って
おらは人とつながりがりたい、たわいない話がしたい。ほんとうの話もしたい
ああそうが、おらは、人恋しいのか
話し相手は生きている人に限らない。大見得を切っていだくせに
またこの国に災厄が迫っている気がするも、どうしてもするも
伝えねばわがね、それでもほんとにおらが引き受けたおらの人生が完結するのでねべか
んだともおら、南京豆に爪を立てるほどの

桃子さんはわっと泣き出した。あれほど嫌った涙を今度はぬぐいもせずただ泣きに泣いた。涙と鼻水と、こなれた南京豆の混じったよだれでぐしゃぐしゃになりながら、赤子のように桃子さんは泣いた。

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三月三日の昼下がり、だいぶ春めいてきた。
桃子さんは懐かしい人形を部屋の片隅に飾って・・・
聴こえてきたばっちゃまの声に、小さな声で呟いていると・・・

「おばーちゃん、だれと話しているの」
背後の声に驚いて振り返れは
「あいやぁ、さやちゃん。どうしたの。えっ、ひとりで来たのが」
「バスで来たの」
「お母さんは知っているのが」

矢継ぎ早に聞く桃子さんに

「だいじょうぶだよ四月から三年生だよ一人で来れるもん」

ーーー

「おばあちゃん、窓を開けるね」
「あ」
「おばあちゃん来て来てて早く」
「はあい」
桃子さんは笑ったままゆっくりと立ち上がった。
「今行くがら待ってでけで」
「春の匂いだよ。早くってば」

このエンディングは暖かいですね。

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2018.03.21

人体―神秘への挑戦― 展

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人体―神秘への挑戦― 展は、
国立科学博物館で開催されています。

会期 3月13日(火)~6月17日(日)


開催錚々、大変混雑しています。
混雑時には、整理券の配布を行っています。(観に行かれる方はHPで確認してくださいね!)
なるべく、土日(休日)は避けた方がよさそうです。

科博の特別展は撮影可であることが多いのですが、本展は、一部を除いて不可になっています。
また、ヒトの臓器標本が展示されています。
夫々の部位に分けて展示されていて、展示場所は壁で囲まれています。
希望者のみ列に並んで鑑賞することになっています。


ーーーHPの開催概要からーーー

ルネサンスより続く人体を理解するための努力の歴史を振り返りながら、人体の構造と機能を解説し、最先端の研究でどのように変わりつつあるのかを紹介します。


ご観覧に際して
本展覧会では、一部のエリアで、私たちの臓器の構造や機能を正しく知っていただくために、ヒトの臓器標本を展示しています。
なお、展示にあたりましては、ご希望の方のみご観覧いただけるよう配慮しております。ご希望されない方のご観覧は、ご自身の判断によりお控えください。
また、本展覧会では指定された場所以外での写真撮影は禁止です。ヒトの臓器標本の撮影も禁止です。
以上のことをご了承のうえ、ご来場くださいますよう、ご案内申しあげます。

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科博では定番ですが、NHKとのコラボ企画です。
各コーナーに置かれたディスプレーに高精細動画が流れていて分かり易く解説しています。

人体理解の歴史、科学の力(進歩)による人体理解の進化、視覚化、そして尽きることのない「不思議」・・・・・会場内には膨大な展示資料が・・・・老化した頭には詰込み切れませんした!
医学の進化はこれからも見逃せません。


以下に展覧会の構成を記します。

第一章 人体理解へのプロローグ
古代ヨーロッパの人体感
アルクマイオンとガレノス

ルネサンス期の解剖学の先駆け
モンディーノ・デ・ルッツイ

「万能の巨人」レオナル・ド・ダヴィンチ
レオナル・ド・ダヴィンチの「解剖手稿」

ウィンザー城王室コレクション所蔵のレオナルドダヴィンチの解剖図

ルネサンス期の人体感
近代解剖学の祖
アンドレアス・ヴェサリウス
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16世紀の医学・解剖学者アンドレアス・ヴェサリウスの「ファブリカ」初版本 1543年 広島経済大学


解剖学の普及
パドヴァの解剖劇場

ワックスモデル
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消化管のワックスモデル
ジュール・タルリッシュ 1876年 ブールハーフェ博物館

キンストレーキ
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キンストレーキ(女性) 19世紀 福井市立郷土歴史博物館
ワックスモデルが高価であったため張り子製の人体模型を考案した。

先端技術で見る人体

ウィンザー城王室コレクション所蔵のレオナルドダヴィンチの解剖図

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第2章 現代の人体理解とその歴史
2-1 循環器系と泌尿器系
循環器系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチが見た心臓の内景

顕微鏡の発見と毛細血管の発見

血液循環説を唱えた   ウイリアム・ハーヴェイ
毛細血管を発見した   マルチェロ・マルピーギ

ディヴィニ制作の複式顕微鏡

光学顕微鏡の発達と歴史

18世紀の複式顕微鏡

ミクロの世界を発見した   アントニ・ファン・レーウェンフック
レーウェンフックの単式顕微鏡
レーウェンフックの観察した毛細血管
ブールハーフェ博物館とレーウェンフックの顕微鏡

心臓の構造と機能

循環器系の構造と役割

さまざまな動物の心臓の比較解剖
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2心房2心室がお馴染みの人間の心臓は、両生類や爬虫類とは構造が異なるのだ。
開放血管系と閉鎖血管系

毛細血管の構造と機能

泌尿器系の概要
腎臓の構造と働き
尿の生成
腎臓による血圧の調整

さまざまな動物の腎臓の比較解剖

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2-2 神経系
神経系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチ考えた脳の構造
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「解剖手稿」より頭部断面、脳と眼の結びつき部分
1490-92年頃 ウィンザー城王室コレクション

進みゆく脳の理解
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脳の神経線維模型  1893-1910年頃 ブールハーフェ博物館

神経研究のパイオニア  カミッロ・ゴルジ
ニューロン説を唱えた   サンチャゴ・ラモン・イ・カハール

日本の神経解剖学研究
日本の神経解剖学の草分け  布施現之助
萬年図譜の世界  萬年甫

中枢神経と末梢神経の形態
脳の構造
中枢神経:脳と脊髄

さまざまな動物の脳の比較解剖

ヒトの脳の進化

脳の中の人体地図を発見した   ワイルダー・グレイヴス・ペンフィールド

アインシュタインの脳切片
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1955年以降 新潟大学脳研究所


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2-3 消化器系と呼吸器系
消化器系の概要

レオナル・ド・ダヴィンチの観察した消化器系
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「解剖手稿」より消化管と腎臓そして尿管部分
1506-08年頃 ウィンザー城王室コレクション

消化管の構造と役割
胃・小腸・大腸・肝臓・腎臓と脾臓、

さまざまな動物の消化器系の比較解剖

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呼吸器系の概要
呼吸の理解

呼吸の本質を解明した  アントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジェ

肺の構造と役割

さまざまな動物の肺の比較解剖


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2-4 運動器系
運動器系(骨と筋肉)の概要
骨格の構造と関節の役割
運動を起こす筋肉
ヒトの全身の筋肉
さまざまな動物の骨格
アクチンとミオシン
造血

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2-5 人体の発生と誕生
人体の発生の概要
ヒト胚の成長
ヒトの体内での成長 
ヒトの成長
江戸時代の人骨に見るヒトの成長
同一人物(男性)の小学校1年生から高校1年生までの手の骨の成長の様子
同一人物(女性)の小学校1年生から中学3年生までの手の骨の成長の様子


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第3章 人体理解の将来に向けて
DNA の研究史
DNA ・遺伝子・ゲノム
ヒトとチンパンジーのゲノムの違い
縄文人のゲノムを読む
エビジェネティクス
哺乳類はどのように進化したのか・そしてヒトは

プロローグ神秘の巨大ネットワーク
NHK スペシャル
人体神秘の巨大ネットワーク

体 内美術館
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腎臓の糸球体 ©甲賀大輔・旭川医科大学/日立ハイテクノロジーズ/NHK


国立科学博物館「人体 神秘への挑戦」展=ダビンチの手稿や臓器の実物も紹介
時事通信社/JIJIPRESS



ヒトの体の謎を解き明かす特別展「人体」国立科学博物館 NHKニュース

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